Imitation
□V 鬼神の真実
2ページ/9ページ
「じゃあ、私達はもう行くね。」
「村は俺たちに任せとけ!」
「ティア達も気をつけなさいよ。」
リルとフォルテに見送られ、ティア、フィン、ジスの3人は村を発った。
目指すは鬼神のいる北の洞窟。
フィンの案内の元、フォレストプリズンを北へ進んでいく。
道中何度か魔物の姿を見たが、体力の消耗を避けるために戦闘を回避しながら進む。
やっとフォレストプリズンを抜け、開けた平原に着いたとき既に日が沈み始めていた。
「えと、ここから洞窟へは更に半日位かかります。」
「じゃあ今日はこの辺りで野宿にしよっか。」
「そうですね、フォレストプリズンを抜けられただけ良かったです。」
あの鬱蒼としたフォレストプリズンは、予想以上に3人の精神力を消費させていた。
開放感溢れる平原は、夕焼けに照らされ赤く燃えていた。
一息ついた3人は野宿のための準備を始める。すると、ティアは1枚のカードを取り出した。
ジスがそれに目敏く気付く。
「隊長、それなんですか?」
「あぁ、これは紋章札(クレストカード)って言うの。紋章魔法を使いたいとき、任務地で魔法陣を描く暇なんてほとんどないでしょ?だからこのカードを魔法陣の代わりに使うの。」
「???」
確かにその札には魔法陣が描かれていた。
しかしフォレストプリズンへ移動した時の魔法陣はとても大きく、この手のひらサイズのカードがその代わりになるのか些か疑問だった。
「ふふ、まぁ見てて。」
疑問符を頭に浮かべたジスを横目に、ティアは紋章札を空に投げる。
「解放(レリーズ)。」
一言唱えると紋章札は眩い光を放ち、札に描かれていた魔法陣が巨大化して地面に広がる。
そして今度は淡く魔法陣が光ると、そのまま地に張り付いた。
「これは退魔の魔法陣でね、この中に居れば魔物に気付かれなくなるの。」
ジスはもちろん、異能の村の出身であるフィンすら驚いている。フィンはかなり興味が沸いた様子で、思わずティアに質問する。
「あの、その紋章札ってどうやって作ってるんですか?」
「魔導団が抱えている研究者が作ってくれるの。詳しいことは帰ってからね。」
「……はぁい。」
フィンは少しガッカリしながらも、きちんと野宿の準備を進める。