Imitation
□V 鬼神の真実
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次の日フィンの体調も戻り、全員部屋に集合していた。
今日から本格的に任務を始める。
「じゃあ昨日話した通り、二手に分かれて任務を遂行しましょう。
私とジスとフィンは北の洞窟へ向かい、魔物大量発生の原因を探り解決する。その間、リルとフォルテは村の警備にあたる。
……フィン、洞窟まで案内を頼める?」
ティアはフィンに問い掛ける。フィンは昨日とは違い、いつも通り元気な姿だ。
「はい。多分、カイン指揮官もこれを見越して、わたしをこの任務に就かせたんだと思いますから。
……あと、昨日は倒れちゃったりしてごめんなさい!えと、それなりに覚悟決めてたつもりなんですけど、その、」
「気にすんなって!」
必死に謝るフィンを遮ったのはフォルテだった。
「失敗とかさ、足りないとことかフォローし合うのが仲間だろ?」
フォルテの言葉を聞いたリルは、フィンのふんわりとした緑の髪を撫ぜる。
「そうよフィン。それに、昨日の分は今日挽回すればいいの。」
リルのいつもより優しい口調は、フィンをひどく安心させた。
ふと顔を上げると、ジスと目が合う。
「俺も隊長の足引っ張るかもしれないけど、村を助けたいんだ。フィンちゃんも一緒に頑張ろうよ。」
ジスの真っ直ぐだ心は、フィンに深く届く。
3人それぞれの言葉はフィンの心に響き、優しく染み渡っていった。
(ありがとう、ございます。)
心から、そう思えた。
だからフィンもまた決意を新たにする。
視界の端映っていたティアが優しく笑っていたことに、彼女は気付いていた。
「そうだ、リルとフォルテにこれを渡しておくわ。」
ティアが渡したのは手のひらサイズの小鳥の玩具だった。
「……これは何だ?玩具?」
「違うよ、伝言鳥(メッセージバード)って言って私の魔力が込められているの。この首輪を外すと私の元へ辿り着くから、メモとか持たせるといいわ。」
「分かった。」
リルとフォルテは受け取った伝言鳥を携帯した。