Imitation

□U 任務開始
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「ティア、魔法で魔物の体勢を崩してくれ!」




魔法の援護があった方が良いと判断したフォルテは、ティアに魔法の発動を頼む。その間にジスは剣を鞘から抜いて臨戦体勢に入る。




「了解。」




ティアは短く返事をした後、すぐに目を瞑り意識を集中させる。




「疾風の嵐(ウインドハリケーン)!」



魔法の名を口にした途端たちまち強風が吹き荒れ、魔物達の半分以上が宙に浮いた。
魔法の発動が止まると、魔物達が次々と地に落ちていく。




――バンバンッバンッ!



空中で身動きの取れない魔物を透かさずフォルテが銃で撃っていく。
フォルテが仕留め損ね、地面に落ちた魔物を、ジスが一瞬の隙も与えず斬っていく。


一気に半分くらいまで数は減ったものの、まだ30体近くいる。


鳥の形を模した魔物はフォルテの銃撃を器用に躱し、ジスでは剣のリーチが届かず攻撃出来ない。
残った魔物のほとんどが鳥形で、ジスとフォルテは苦戦していた。後方からその様子を見ていたティアは、待機しているリルに指示を出す。




「リル、貴女の出番よ。」


「任せなさい!」



リルは自分の出番を分かっていたかのように返事をした。

木の上から高く跳び上がり、そのまま鳥形の魔物の上に落下した。リルの足が魔物の胴体を強く蹴り、その胴体を足場にしてまた高く舞い上がる。そしてまた魔物の上に落下し……と繰り返し、次々と魔物を蹴り倒していく。


ある程度魔物が倒れたのを確認すると、リルは一層高く舞い上がり……







「闘舞・華円散」




リルが舞うと森にある花の花弁が宙に舞い上がり、一斉に魔物を襲う。
それに合わせてジスとフォルテも同時に攻撃を仕掛ける。







――ギャァアアァアッッ!




刹那、魔物達の断末魔が辺りに響いた。あれだけいた魔物も、全て地に伏していた。

魔物は魔王が作り出した異形の化け物。そこに魂は無く、生き物でもない。
だからこそ死した魔物の身体はすぐに朽ち果て、その身に宿っていた魔力だけが大気へと還る。

この魔物達も例外なく、全て大気へ還っていった。





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