Imitation

□U 任務開始
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「あの木を見て下さい。」



フィンが指差したのは、この辺りでは一番の大木だった。



「例えどんなに迷っても、あの大木の側に辿り着く仕組みになってるんです。あの木を中心にして特定のルートを歩けば、村への入口が開かれます。
わたしの後に付いて来て下さい。」




そしてフィンは大木の回りを反時計回りに2周歩き、南に歩くとまた大木の元に着いた。
次は大木の回りを時計回りに1周歩き、北に歩く。他の4人もそれに続いて歩く。


すると……






「うわっ!」

「わっ!」



声を上げたのはフォルテとジス。
声こそ上げなかったものの、リルも突然の事に驚いている。
一方、ティアとフィンは平然としている。



何が起こったのかと言うと、北に歩き出した瞬間、鬱蒼とした樹海が美しい森へと姿を変えたのだ。



「後は道なりに進めば村へ着きます。」



「ありがとう、フィン。じゃあ村へ急ごう。リル、ジス、フォルテ、行こう!」





美しい森を楽しむ暇もなく、5人は駆け出す。既に陽は完全に上っていた。
魔物に襲われているかもしれない村へと、急ぐ。
踏み固められた土の道をしばらく走り抜けると、緑と茶以外の色が遠くで見えてきた。





「ティア隊長!あれっ!」



ジスが指差した先には、村に襲いかかろうとしている無数の魔物がいた。

村自体にも結界が張ってあるようで、まだ村に侵攻してはいないようだ。しかし結界は綻び始め、今にも魔物に破られそうである。
村の中から魔物に攻撃をしているようだが、魔物の数が多すぎるためか、あまり効果はない。

そしてティアは“隊長”として、隊員に命令を下す。



「ジス、フォルテ、前線で魔物を殲滅しなさい。リルは一時待機、フィンは下がっていて。」



4人は命令に従い行動を開始する。



まずリルは、待機のために少し離れた木の上に跳び登った。フィンはティアの後ろで鞭を構え身を守る。
それとほぼ同時にジスとフォルテが魔物に向かって行く。




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