Imitation

□T 戦闘専門中立機関『Bloody Cross〜血塗れの十字架』
3ページ/3ページ





支度を終えたリル、フォルテ、フィン、ジスが入ってきた。
カインは直ぐさま指揮官の自分に戻る。





「全員揃ったようですね。ではティア、頼みましたよ。」




「……はい。」




ティアは魔法陣の中央に立ち、他の4人は彼女の周りに立つ。
ティア一つ深呼吸すると、瞳を閉じて精神を統一させる。



「我等星の導きに逢いて、彼の地に赴かん。星在るところに月は在り、星の導きは即ち月の導き。月よ今こそ我らに扉を開きたまえ。」




呪文の詠唱が終わると同時に魔法陣が光り、ふわりと5人の体を包み込んだ。
そして一瞬光が強く光ったと思ったら、次の瞬間に彼らの姿は無かった。床に描かれていた魔法陣も綺麗に無くなっていた。



星読の間に一人残されたカインはガラス張りの天井から、既に見えずらくなっている星を見上げた。そして何かを悟ったのか、呟くように言った。




「……星は人の行く末を示す。今回はただの始まりにしか過ぎない。ここが始まりなのは必然か、それとも只の皮肉か…。」




彼が東の空を見遣ると、もう陽が昇り始めている。

しばらくの間そのまま空を眺めた後、扉に向かっ歩き出した。









「……私が指揮官なのも、また運命か。」







そして扉は閉まり、星読の間にはただ光が降り注ぐだけとなった。



彼が見た行く末は、

光か闇か、希望か絶望か――。










前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ