闇夜のセレナーデ

□揺れる紅の激情
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「あはははははっ!!」



目の前にいる深紅の髪の彼は、私を指差して思いっきり笑う。屈辱的な思いだけれど、私が悪いのだから仕方ない。




「いやー、色気の欠片もない悲鳴が聞こえたから何事かと思ったら……ぷぷっ!」


「ライさん笑いすぎです!」




そう、私が叫んだばっかりに将軍のライさんが駆け付けてくれたのだ。しかし私はユーリッシュとイシスに着替えさせられてる真っ最中で……



「でも良いモノ見れたな。」


「――!!」


「案外花嫁様はスタイル良いんですね。」



くっ……!あられもない姿を見られた手前、何も反論出来ない。
ニヤニヤと笑うライさんに怒りが沸くが、拳を握って必死に耐える。



「将軍様、その辺にしといてくれませんか?」


ああ、神様仏様ユーリッシュ様!
今ほどユーリッシュに感謝したのは初めてだよ!



「リト様はまだこの生活に慣れていないのです。お戯れになるのでしたら、ご退室願います。」



ユーリッシュの目は本気だ。ライさんも一瞬の内に笑うのをやめた。



「これは失礼。……まあ、冗談はこれくらいにして本題に入ります。」



一応真面目な目的はあったんだ、と失礼だけど思ってしまった。



「今後、私、将軍のライが花嫁様の警護にあたらせて頂きます。」


「え?」



何で急に?今までそんな話無かったのに。



「今まで花嫁様の顔は知られていませんでしたが、正式に発表されましたから。念のためですよ。」



そう言ってライさんはにっこり笑った。でも、その笑顔がどこかぎこちないの。


 
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