闇夜のセレナーデ
□世界を変えたかった
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通されたユーリッシュの部屋はとても簡素だった。
いくら私が魔界に来てから絢爛豪華な部屋ばかり当てられたからと言っても、あまりに侘しい部屋だった。
「驚いた?」
ヴェルア家のお嬢様やったし、無理もあらへんか。とまたユーリッシュは笑った。
……でも、どこか寂しそうなのは気のせいじゃないよね?
「ほんまはな、他の召使と相部屋なのが普通なんやけどさ。
ウチってこんな口調やからあんま好かれてないねん。」
ユーリッシュは質素な、でも清潔そうなベッドにポスンと腰掛けた。
私はユーリッシュの前に立って表情を伺うけど、彼女は少し俯いていて前髪と長めの睫毛に隠されてしまった。
「……って、会ったばかりのリトに何言っとるんやろな!ごめんな?気にせんといて……」
「私は、ユーリッシュのこと好きだよ?」
でも隠された先に何があるか分かってしまったから、咄嗟にそんな言葉が口から飛び出した。
「ユーリッシュはその口調気にしてるみたいだけど、私は好き。
だってユーリッシュの明るくて優しい性格が一番伝わるしゃべり方だもん。
……他の誰が嫌っても、私はユーリッシュも、ユーリッシュのしゃべり方も好きって言えるよ。」
今度は屈みこんでユーリッシュの表情を見たけれど、ぷいっと顔を逸らされてしまった。
……き、嫌われた私!!?