闇夜のセレナーデ

□世界を変えたかった
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「少数派が省かれるのは仕方ないやん。……ウチは、半獣みたく乱暴に扱われんだけマシや思っとる。」



「本当に、仕方ないことなの……。」



私の言葉はユーリッシュに届かなかったみたい。
ユーリッシュはやる気満々で雑巾を私に渡した。




「仕事は部屋の清掃がほとんどや。たまーに洗濯やなんかも手伝わされるけどな。」



ユーリッシュは慣れているのか流石に要領が良い。


だけど、掃除なら私だって負けないんだから!


雑巾片手に片っ端からありとあらゆるモノを拭きまくる。



「リト、あんたやるなあ。」



「へへへー。」



あの莉緒の部屋(ゴミ溜め寸前)を掃除してたんだから、こんなのちょろいちょろい。



2人でやればあっという間に掃除は終わり、部屋は見違えるほど綺麗になった。



「あとお仕事は?」



「ナイナイ。今日は終わりや。」



掃除用具を片付けて、こっち来ぃ、とユーリッシュに案内されるまま廊下を歩く。




「ここが、城の使用人の居住フロアや。」



そこは、私がイシスを追ってやってきた廊下だった。

たくさんの扉は、城の召使さん達の部屋だったんだ。


少しぼうっとしてると、ユーリッシュが私の手を引いて一つの部屋に招く。




「ここは?」



と私が尋ねると、ユーリッシュはこげ茶の髪を揺らして笑った。



「ウチの部屋や。」




 
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