闇夜のセレナーデ
□黒猫が誘う扉の先に
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私がセイと同じ部屋で暮らす事になって、早1週間。
このフロアもあらかた探険し終わって、また暇になってしまった頃だった。
「ふあぁ……。」
見つけた温室でまったり過ごすのが最近の日課。ここは暖かいし、咲き誇る花がとても綺麗。
セイもケイさんも公務で忙しいから、日中はひとりぼっち。
あーあ、暇だなぁ。
――カサッ
「!?」
あれ、この温室には私しかいないはずなんだけどなあ……。
――カサカサッ
「だ、誰っ?」
へ、変な人だったらどうしよう!
このフロア、今私しかいないのにっ!
「にゃーお。」
「……猫ちゃん?」
現われたのは毛並みがすごく綺麗な黒猫。
迷わず私は猫ちゃんの元へ行って抱き上げる。
「どうしたの?迷子?」
「にゃ。」
「猫ちゃん、私の言う事分かるの?」
「なー。」
……すっごく可愛い!
膝の上に乗っけて撫でてやると、すごく気持ち良さそうにまどろみ始めた。
可愛いなあ……。
「にゃっ!」
「ふあっ!」
私も一緒にウトウトし始めた時、突然猫ちゃんは飛び起きて膝から跳び上がった。
温室を出て行くものだから、慌てて後を追う。
「待って!」