闇夜のセレナーデ
□風に舞う花びら
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部屋を飛び出したリトは、行く宛も無くフラフラと廊下を歩いていた。
晩餐から一夜明け、まだまだ城内が分からないリトは、冒険気分でいた。
「本当、映画の中の世界みたい……。」
太陽の無い魔界では、城内も薄暗い。けれど、逸る好奇心は止められない。
たくさん扉があって、思わず開けてしまいたくなる。
「ここ、何処に繋がってるのかな?」
リトが見つけたのは階段。上には続いておらず、下にだけ伸びている。
階段を降りるくらいなら、誰にも迷惑かからないよね。
リトは迷わず階段を降りた。
とことこ階段を降りる。
足取りは軽くて、さながら宝探しと言ったところだろうか。
「うわぁ……。」
長い階段を降りきると、広い円形の広間に着いた。
天井は全てステンドガラスで、とても美しい。
引き込まれるように一歩、また一歩と踏み出す。
他にも、面白いものは無いのかな?
リトはステンドガラスを十二分に楽しんだ後、好奇心が誘うままに広間を飛び出した。
けれど。
「貴様何者だ!」
扉を開けてすぐ、鎧を身に纏った人に剣を向けられた。
「我等の警備を掻い潜るとは……貴様は何者だ!返答次第では切り捨てるぞ!」
剣の切っ先が喉元にあてがわれる。
一体、何て答えたらいいの?
人間です?
セイの花嫁です?
リトはただ、向けられた剣に震えるしかなかった。
「そこまでです。」