闇夜のセレナーデ

□風に舞う花びら
2ページ/11ページ




部屋を飛び出したリトは、行く宛も無くフラフラと廊下を歩いていた。

晩餐から一夜明け、まだまだ城内が分からないリトは、冒険気分でいた。



「本当、映画の中の世界みたい……。」



太陽の無い魔界では、城内も薄暗い。けれど、逸る好奇心は止められない。

たくさん扉があって、思わず開けてしまいたくなる。



「ここ、何処に繋がってるのかな?」



リトが見つけたのは階段。上には続いておらず、下にだけ伸びている。


階段を降りるくらいなら、誰にも迷惑かからないよね。


リトは迷わず階段を降りた。



とことこ階段を降りる。
足取りは軽くて、さながら宝探しと言ったところだろうか。



「うわぁ……。」



長い階段を降りきると、広い円形の広間に着いた。

天井は全てステンドガラスで、とても美しい。

引き込まれるように一歩、また一歩と踏み出す。



他にも、面白いものは無いのかな?



リトはステンドガラスを十二分に楽しんだ後、好奇心が誘うままに広間を飛び出した。





けれど。



「貴様何者だ!」



扉を開けてすぐ、鎧を身に纏った人に剣を向けられた。



「我等の警備を掻い潜るとは……貴様は何者だ!返答次第では切り捨てるぞ!」



剣の切っ先が喉元にあてがわれる。


一体、何て答えたらいいの?

人間です?
セイの花嫁です?

リトはただ、向けられた剣に震えるしかなかった。





「そこまでです。」


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ