闇夜のセレナーデ

□月夜の招待状
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「さて、今日の夕飯何が良い?」


 考えてもどうしようもないのは分かっているから。
 重くなった雰囲気を払拭するように、話題を切り替えた。


「じゃ、グラタンで。」


 湊も馬鹿じゃないから、そんな私に気付いてまたゲームを再開した。


「あ、そうだ。なぁ莉都」


「お姉ちゃんがいやならお姉様って呼ばせるよ?」


「だーっ! 分かったよ、姉貴」


「ま、及第点はあげましょう。で、なに?」


「ポストにこんなの入ってたんだ」


 湊が私に渡したのは、真っ黒な封筒。封筒には白い色で、見た事のない、まるでアルファベットみたいな文字が書かれていた。


「……何これ。湊、郵便局に戻しに行けば良かったじゃない」


「それ、切手ないから郵便局行っても無駄だって。それに、その封筒開かないんだ」


「え?」


 封筒が開かないって、どういう事?ハサミでもカッターでも使えばいいのに。


「駄目だったんだよ、ハサミでもカッターでも切れなくて」


「嘘だぁ。こんな封筒なんで開けられないのよ」


 と言って、私は開封する。


――ビリッと音がして、簡単に破けた。


「ほら開いた」


「えっ?俺が開けようとしたらびくともしなかったのに……」


 きっと湊の要領が悪かったんだろうな、なんて思いながら中身を取り出す。


「うわっ……」


 中身も封筒と同じくらい黒い便箋が入っていて、少し気味悪さを感じる。三つ折りになっているのを広げると、宛名と同じ様な文字で色々書かれていた。
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