Imitation
□W 終わりの始まり
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「闘舞・風嵐華(ふうらんか)!」
リルが舞い、周囲に巨大な竜巻が起こる。
――ギギィィイッ!
断末魔を上げ魔物が倒れていくも、その数は一向に減らない。
「リルっ、伏せろ!」
フォルテはリルの背後に迫る魔物に標的を定める。リルはフォルテの言う通りに地に膝をついた。
「装填、紅蓮弾。」
――バァアンッ
彼が撃った紅の弾丸は魔物に命中し、直後、魔物は業火に包まれる。
「大丈夫か?」
「ええ。……にしても、キリが無いわね。こっちが先にへばっちゃいそう……。」
黒い太陽から襲来した魔物の数は数えることが出来ないくらいだ。どんなに少なく見積もっても、三桁はいるだろう。
「一応、ティア達には伝言鳥を飛ばしたから。きっともうすぐ来てくれるさ。」
「だと良いんだけど。」
魔物達と交戦してまだ1時間も経っていないが、戦局は良いと言えない。あまりの魔物の多さに技を出し惜しみ出来ないため、体力の消費が著しいのだ。
(こんな数の魔物、見た事無いわ。まだザッと200はいるんじゃないの?それに、あの黒い太陽も気になる……。)
確実に魔物を倒していきながら、リルは思考を巡らせる。
「リル、いくぜ。」
「分かってるわ。」
2人は呼吸を合わせ、魔物達と再び対峙する。
刹那、
「わっ!」
「きゃっ!」
戦場を突風が吹き抜ける。2人は一瞬動作が止まり目を細めるが、それは魔物達も同様のようだ。
風が止んで周囲を見ると、
「遅くなって、ごめんなさい。」
「ティア!」
待ちわびた人がそこにいた。