Imitation
□U 任務開始
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そして5人は、魔導師ティアの転移魔法により森の国トリシアのフォレストプリズンに到着していた。
見渡す限り木、木、木。
「なぁ、フォレストプリズンってもしかしなくともこの森全部か?」
口を開いたのはフォルテだった。その茶髪に寝癖が残っているのを見ても、まだ眠いのだろう。
赤いバンダナで隠してはいるものの、やはり跳ねている。
「そうだね。神力も感じるし、この森全体が村を守る結界だって考えて間違いないと思う。
でもどうしよう、まさか森の真ん中に来ちゃうなんて……。」
フォレストプリズンを抜けなくちゃ村には辿着けないのに、とティアは少し困った風に続けた。
この森の結界を破る術をティアは知らないのだ。
それにここは森と言うより樹海に近く、辺りは鬱蒼としていて気味が悪い。
「あ、あの……。」
おずおずと、緑の少女フィンはティアに話し掛ける。
「フィン、どうしたの?」
「わたし、村への行き方知ってます。」
「え、どうしてフィンが知ってるの?」
「……。」
途端にフィンは黙りこんでしまう。そんなフィンの様子を見て、ティアは聞いてはいけない事だと察する。
「……まぁ、いいか。じゃあフィン、お願いね。」
フィンは一回首を縦に振ると、改めて喋り出す。
「えと、何も知らない人がこの森を歩いても、結界の力で同じ場所をぐるぐる回るだけになります。
でも森を抜けるための道筋が決まっていて、それを知らないと村に着くどころか森からも出られません。」
「で、その森を抜けるための道筋って何よ?」
今まで黙っていた金髪ツインテールのリルが、とうとう口を挟んだ。
そもそもリルがおとなしい方が珍しいのだ。
彼女は根は確かに優しいのだが、若干高飛車でわがままなのだ。
「お転婆」と形容するのがぴったりである。