闇夜のセレナーデ
□月光夜想曲
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休日には、ついたまりがちになる洗濯を一番最初にやる。
今日は天気がいいから、いつもより早く乾くな。
古い洗濯機はちょーっぴり奇怪な音をあげながら回っている。
その間に軽く家具の埃を落として掃除機かけて……と。
「……莉緒、何やってるのかな?」
「ドラクエ。」
「あんた私が掃除やってんの分かってるでしょー!」
なんと莉緒は、今まさに掃除をしようとしているリビングに陣取ってテレビゲームをしているのだ。確かに莉緒が家事をしようものなら家具が破壊さ……いや、仕事が増えるから一切させていないけれど。
だからって妨害して良いって訳じゃないでしょ。
「掃除するからどけてくれる?」
「教会行くまで待って。」
「さっきから街にいるよね?」
「あっれー、教会どこかなー。」
「棒読み棒読み。いい加減にしないとコンセント引っこ抜くよ。」
チッと舌打ちした莉緒は渋々教会でセーブしてゲームをやめた。
「ほら、今の内にマカロニ買っといで。」
「午後からでいいじゃんか。」
「タイムバーゲンのおばちゃまなめんなよ。」
私なんか学校帰りに何度死闘を繰り広げたことか。
私の言葉に揺れた莉緒は、しばしの沈黙の後財布と携帯を持って出かけて行った。
行ってきますと行ってらっしゃいは忘れずに。