闇夜のセレナーデ
□世界を変えたかった
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どうして、なんて軽く口に出来なかった。
「所謂、権力争いってヤツや。巻き込まれて母様は殺された。
それから後ろ盾を無くしたウチは、捨てられるみたいに城にやって来たんや。」
……きっと、今何を言ってもユーリッシュの心には届かない。
本当の意味で、私はユーリッシュを理解できてないから。
「……そんな大事なこと、話してくれてありがとう。」
だから今はこれだけ。
「そういえば、リトはなんで……」
とユーリッシュが話題を変えた所で、物凄い轟音の後城が揺れた。
「な、何……?」
私が戸惑っていると、ユーリッシュが答えてくれる。
「あちゃー、レイチェル様のお仕置の時間やな。」
ユーリッシュが呟いた後、私に詳しく説明してくれる。
「レイチェル様ってのは侍女長で筆頭召使の次に偉い方でな、半獣の使用人……という名の奴隷も束ねてるんや。
今は1人の半獣が仕置を受けとる。何でも仕事抜け出した挙句、貴族の姫君に粗相をしたとか。」
――――え?
それって、私とイシスの事じゃ……。
じゃあ、
「その“レイチェル様”って、赤毛の美女じゃあ……。」
「よく知っとるなあ。そうや。その赤毛美女がレイチェル様。
まあ、いくら美しくても性格がなあ……。」
……性格?