闇夜のセレナーデ
□世界を変えたかった
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密かにショックを受けていると、
「…………や。」
微かな呟きが聞こえた。
「こんな風に言ってくれたの、リトが初めてや……。」
もう一度ユーリッシュの顔を見ると、顔を真っ赤にして瞳に涙をためていた。
「思ったこと、言っただけだよ。
それにユーリッシュに近いしゃべり方知ってるから、そんなに偏見とかないんだよね。」
ユーリッシュのしゃべり方が嫌われるんなら、大阪はもう日本から独立してると思う。うん。
「むっちゃ嬉しいやん……」
とユーリッシュは、はらはらと泣き出してしまった。それをみて私が微笑むと、ユーリッシュに頭をぶたれた。……結構痛いな。
そして私達は他愛ない会話で笑いあった。
ユーリッシュは最初どんな高飛車なお嬢様が来るか不安だった、とか。
私に生意気な弟がいるんだ、とか。
それは段々シリアスな話しにまで発展して。
「ウチな、下級やけど一応貴族の出なんや。
母様は旅芸人やった。そりゃもう美人で舞を舞わせたら右に出る者なんかあらへんで!
ウチの口調は母様譲りなんや。」
「じゃ、ユーリッシュのお母さんもきっとユーリッシュみたいな性格だったんだね。」
「そうや。で、母様に一目ぼれした父様が結婚を申し込んで、母様は父様の妾(めかけ)になった。
……そしてウチがまだ子供の内に、母様は殺されてしもた。」