書庫

□恋人よ、お許しください
1ページ/8ページ

「お帰りなさい、ゾルフ」
小柄な、かわいらしいひとだった。頬を染め、金色の長い髪を揺らして、夫の腕の中に飛び込んだ。
「ただいま。今日は、お客様を連れてきましたよ」
キンブリーは満面の笑みで、こちらを振り返る。
「アイザック・マクドゥーガル。私の友です」
夫人は夫と俺を代わる代わる見比べ、ばら色の唇をとがらせた。
「ひどいわあなた、いきなり」
「許してください。すぐそこで、偶然再会しましてね」
取って付けたような言葉に、疑う様子もない。
「はじめまして。さあ、お上がりになって。お夕食、すぐ用意しますから」
「いや、そんなつもりでは」
「遠慮は無用ですよ」
額にキスして、キンブリーは自分の妻に言った。
「アイザックはね、近々結婚するのだそうです。どなたでしたっけ?お相手は」
「キャスリン・アームストロング嬢だ」
「まあ!おめでとうございます。だったら余計に、さあ」
無邪気な笑顔から目を逸らすと、キンブリーの薄い満足しきった笑みが視野を占領する。
「言ったでしょう、私の妻は素直で優しいって」


食事の後、キンブリーは当たり前のようにウィスキーの瓶とグラスを持ち出してきた。
「お祝いですからね」
「あなた、あたしは……」
困った顔の夫人を、キンブリーはたしなめる。
「いけません、こういう時はお付き合いするものですよ」
「ではちょっとだけ」
「ええ、ちょっとだけ、ね」
夫人は、ウィスキーを一口飲んだ。そして、固まった。
「さて」
夫の笑顔を他所に、ぼんやり宙を眺めている。
「ああ、もう効いてますね。グラスの底に塗っておいて正解でした」
「……やっぱりよそう」
キンブリーはむっとした顔で睨む。
「いまさら何です。貴方のために仕組んだことですよ」
言いながら、夫人の服の胸元を掴み、
「ご覧なさい。初めてでしょう」
高らかな音と共に引き裂き、下着を剥ぎ取った。たわわな乳房がこぼれる。
「女は」
夫人の肩を背中から抱き、細い首筋に舌を這わせ、ばら色の乳首をつまんで見せた。
(続く)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ