短編集

□それは、運命…?
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「ゲホッ!、はっ…ね、ぇ…リボーン……」

「っ、バカツナ!しゃべんじゃねぇ!!」

血溜まりの上、リボーンは方膝をつき、ツナを抱き締めていた

「もし…来世が、ある、としたら…」

ツナは腹から血を溢れ出させながらも、リボーンに話しかける

「平々、凡々…な、世界…で、また…リボー、ンと……一緒に…」

「どんな世界だろうと!!俺は、ツナと…一緒に、いるぞ」

ツナの言葉を最後まで聞かず、リボーンは言う
その頬から、ツナの頬にキラリと光る雫を流しながら

「あ、り…がとう…リボーン……」

「!ツナ!綱吉!!」

綺麗に微笑むツナの瞳は、すでに焦点がずれている

「り、ぼーん……"    "」

「っ……俺も、愛してるぞ」

最期の言葉を聞き取ることは出来なかったが、はっきりとした唇の動きを、リボーンは見落とさなかった
静かに呟き、その唇にキスを落とす


数秒後に響いた銃声は少し遠くで見守っていた2人の男女に、彼等の最期を伝えた

男はオッドアイの瞳を、女は1つだけの瞳を、ゆっくりと静かに、哀しさを隠すように伏せた










「やばい!遅刻する!!」

蜂蜜色の髪の少女は、全速力で走っていた
理由は簡単、入学式に遅刻してしまいそうだからだ
教室に鞄を置き、少女は廊下を走る

次の角を曲がれば体育館

そう思いながら走っていれば、曲がったところで人とぶつかった

「!!」

「わっ!?」

少女は衝撃に備え、目をつぶった
が、それは一向に来なかった

「大丈夫か…?」

「え……?」

低い、艶やかな声に目を開ければ、見たこともないほどの美青年が、少女を支えていた

「あっ!す、すみません!!ありがとうございました!!」

「くっくく……」

少女は直ぐ様立ち上がり、必死に謝まっていると、何が可笑しかったのか、青年は笑いだした

「え…あの…?/////」

「ああ…わりぃ、何でもねぇ」

そう言うわりに、彼は今だに笑っていた

「ツナさーん!」

「ツナー!始まっちまうぜ!」

「あ、今行く!」

問いただそうと思ったものの、友達の声に、急いで席を目指す

「リボーン先輩!こんなとこにいたんスか!式、始まりますよ」

「ああ…」

少女と青年はそのまま背を向けて歩き出す

(リボーン、先輩……///)

(ツナ…か……)

互いに、興味を持って




「全く、彼等は相変わらずですねぇ」

「変わってない…私は、嬉しいです。骸兄様は?」

「……僕も、嬉しいですよ…凪」

オッドアイの瞳を眼帯で隠した2人は、嬉しそうに、少し寂しそうに微笑んだ





2人は巡り会う

会って、最期には同じ約束をする

例え、平々凡々な世界でなく、危険な世界だとしても

例え、どんな姿をしていたとしても

2人は必ず同じ約束をし、それを果す

何度でも、何十、何百、何千と、2人は輪廻を巡り、再開する

2人が、互いを愛することをやめない限り


そして、そんな2人を六道輪廻は見守り続ける

変わらぬ2人に嬉しく思い

記憶を持たない2人に寂しく思いながら



これからもずっと、2人の愛が終わるまで輪廻は続く


あなたは、運命を信じますか……?







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