ロストセイバー
□プロローグ
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死なせない……! 誰も失わせたりしない!
「避けろ、ばかっ!」
その女の子を突き飛ばし、黒い毛玉が襲うラインから外す。
しかし、そうしたことで、少年は黒い毛玉の襲うラインへと入った。更にもう黒い毛玉は、こちらに向かって跳躍している。もう逃げ切れない。
死ぬのか? 俺はこんなところで……。
時継に諦めの感情が宿っていく。
いや、それでもいいのかな……母さんのところに行けるなら……。今の生活をしているより……。
――ずっと、ずっと生きてね時継……。
何かの声が聞こえた気がした。
――見守ってるから……。
――私の力が貴方に宿ってくれるように祈ってるから……。
――時継……大好きだよ……。
何の声だったのか。走馬灯のように通り過ぎ、時継の意識からもスッと消えていく。それでも、何故だろうか。時継は目の前から黒い毛玉が来てることも忘れ、呆然と呟いた。
「母さん……」
その瞬間、光が黒い毛玉と時継の間に生まれた。