捧げ物
□選ぶのは決まっています
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はぐれ鬼の里を探してから早数が月。
鬼や人間に見つからないような山奥へ向かう途中の出来事。
「そういえば、千耶随分前に汐見爺から言われたことがあるのですが」
休憩中に雪奈は前に言われたことを千耶に話し始める。
それは以前汐見に孫の嫁に来ないか?、と言われた言う話だった。
「汐見翁の孫の嫁……」
千耶は言葉を選ぶ為に考え込んだ。
「……もしや、その話は今も続いてるのか?」
言葉を選びながら聞く千耶は首を傾げる。
雪奈はいいえ続いてませんよ、と言うとそうか、と言いつつホッとした千耶がいた。
「その、千耶がいるので……」
照れながら言う雪奈。
そんな彼女を見て可愛い、と密かに思い微笑む千耶がいた。