捧げ物

□テストには注意を
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関ヶ原の戦いの時代を生きた鬼と呼ばれた彼らや戦った武将たちが記憶を持ったまま転生して、生きている。

十鬼学園はそんな彼らを快く受け入れる学校で校則はどちらかというと緩い方である。
鬼と呼ばれた者たちは人間として生きているが人間離れした能力は、残っており運動部で発散させる生徒も多い。

稀にいる先祖返りの力を持った生徒は力によっては悩まされることがある。

一年生の涼森雪奈は先祖返りの力に悩まされてる生徒の一人。

いづな足又は韋駄天とも呼ばれる足の速さと金剛力と呼ばれる怪力、剣の達人から受け継いだ剣の腕前、式神の力の四つを持つ彼女は使い道に悩まされることもある。

陸上部と剣道部を掛け持ちしてるが金剛力と式神の力に関しては常に困っている。

「金剛力と式神か……」

溜め息を吐きながら廊下を歩く雪奈。
金剛力の力が使うのは機会がない訳ではない。

理由は教師たちである。
そんな重いものを女子に持たせるなど!、と言って手伝おうとすれば大抵の教師が断る。
特に保健体育で陸上部顧問の千岳、古典担当の義弘、国語科の豊久の三人には確実に断られる。
断らない教師もいるその例として、美術科の秦、高校生倫理の元康や数学科の三成である。

式神の力はどの場面で使えば良いか良く分からない。
今のところ、驚かれもせずに式神を出すことはできないのだ。

「どうしましょうか」

日付ごとに決められてる部活だが陸上部は休み、剣道部も休みの金曜日が一番空いているのだ。
そんな時には教師の手伝いだが、今日は殆どの先生が忙しい。

テスト期間明けの金曜日だから、当たり前である。
国語や数学、英語の基本的な科目から高校生倫理、
選択授業もある為、一学年終わらせても中々終わらない。

選択授業は学年で数が決まっているが一年生は二つ
、二年生は三つ、三年生は一気に増えて四つだ。
雪奈は選択授業で生物学と電卓計算の二つを取っている。
取ったは良いのだが生物学の担当の教師が前世で戦った化学担当の朧八千代だ。
嫌がらせの様なものとして、授業の度に当てられている。

「帰るしかなさそうですね」

呟いた雪奈は、誰もいなくなった教室を後にしようとすると、何か引っ張られる感覚がした。
えっ?、と驚く雪奈は前世と同じように導かれた先には美術室があった。

美術室のドアが開かれて、引っ張られて入るとそこには美術科の不知火秦がいた。

「秦、先生」

前世のように『秦さん』と呼びそうになるが、先生と呼んだ。
昔のように呼んでくれませんか雪奈、耳元で囁きながら秦は言う。
頷くと秦さん、と呼び直した雪奈。

「ところで、雪奈」

秦は満面の笑みと言えるような笑顔を雪奈に向けるが雪奈は何か気に障ることをしたのだろうか?、と考える。

満面の笑みの時は、何かしたの他に思いつくことがなかった雪奈。
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