いつもありがとうございます。
咲蘭保からのお礼の気持ちです。
小説と言えるほどのものではないですが、どうぞ。


前拍手小説『あんなこといいな、できたらいいな』の続きです。コ→哀風味です。

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ねえ、目を開けてよ







トントン、と扉をノックして返事がないのを確認してその扉を開ける。

静かな部屋。

ベッドの脇にいつも置いてあるいすに座る。

昨日と変わっているところはない。
それはいいことなのか、悪いことなのか。


ここ最近できた私の習慣。
毎日朝早くに起きて仕度を済ませ、一人分の朝食だけを作り
自分は何も食べずに家をでる。

歩いて約二十分ほどで目的地に着く。

いすに座り、ベッドの上を見る。
そこには自分と同じくらいの少年が寝かされている。

その目は固く閉ざされ、開く気配がない。
それでも私は彼の顔を見続ける。
それはもう、朝から夕方まで。

自分は眠っている人間に話しかけるなんてことはしない。
返事がないのをわかっていて話しかけるなんてむなしいだけだ。

だから、私はただ黙っていすの上で一日の半分を過ごす。

もうそろそろ彼の荷物を持って博士がここにやってくるだろう。
大阪の彼の友人も来ると言っていた。
彼が来るなら今日のこの部屋はいくらかにぎやかになるはずだ。

窓の外をぼんやり眺める。
まだ朝だというのに日差しが道行く人々に照りつける。
気の毒に思いながらもその様子を眺める。
だが、薄暗いこんなところにいる自分たちよりは外を歩く人たちの方がいいように思える。


再び彼に目を向ける。


あなたはしたいことがあるって、言ってたのにね。
言ってたこと何一つ叶ってないじゃない。



『俺は、まずは飯食って、風呂に入って、寝る』


『その次は、お前と映画観に行くのとかもいいかもな』


『んで一緒に昼飯食って、買い物して、帰る』


『今までどおりだけど、全く一緒ってわけではねーよ』


私、結構映画楽しみにしてるのよ?

最近、うちの近くにお洒落なカフェができたの。
でも結構いい値段するのよ。
だからあなたが早く目を覚まさないと私はいつまでもそこに行けないじゃない。

そういえばもうすぐ吉田さんの誕生日だからプレゼントも買わないと。

それにあなたが言った言葉の意味、まだ聞いてないんだけど。


『やりたいことがあったらそう簡単に死ねねーだろ』

憎たらしい顔でそう言ったのはどこの誰よ。
人には言うだけ言っておいて、自分は勝手に死ぬつもり?

そんなの許さないわよ。
もしそんなことになったらどこまででも追いかけ回してやるんだから。

ねぇ。もう十分眠ったでしょ。
そろそろ起きないとご自慢の頭が溶けてなくなるわよ?



「早く、目を覚ましなさいよ」



この私の言葉は、誰に聞かれることもなく消えた。







それから数時間後、博士とともに大阪から彼の友人がきて
私は二人と入れ違いに病室を出た。

彼のことは二人に任せて自分は家路につく。

家に着いたとたん、急に眠気が襲ってきてリビングのソファに横たわる。
よく考えるとあの戦いがあってから一度もまともに寝ていない。
眠れるはずがない。

だが、自分の意思とは逆に体は睡眠を欲しているようだ。
あっという間に私の意識はなくなった。

博士が帰ってきた音で私はようやく目が覚めた。
博士しかいないところを見るとあの人はもう大阪へ帰ったのだろう。

おかえりなさい、と博士に言おうとしたとき小さな音が聞こえた。

バッジ------?

その音に博士も気がついたらしくこちらへやってくる。

そして返事をしようとっそのバッジを手にもつと次ははっきりとした声が聞こえてきた。


心配かけたな、なんて生意気な台詞が。



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拍手小説第二段でした。
前回の続きです。

組織との戦いの部分は省略しました。
省略した部分を簡単に説明すると、
組織との戦いで哀ちゃんを守ろうとした(←これ必須!!)ところコナンがやられちゃって、
すぐさま病院へ。
手術はなんとか終わったものの、コナンはなかなか目を覚まさない-----

というような物語を想像してこの小説を書きました。

最近、小説を書いていないので話が思い浮かびません………
随分前に前拍手小説の続きを読みたい、というリクエストをいただいたのですが
なかなか更新できずすみませんでした。

結局はありきたりな話になってしまいましたが、
小説のできばえはともかく私としてはなんとか一つの小説になったのでよかったかなと思います。

最後になりますが、多くの拍手、コメントありがとうございます。
あまり更新しないのにも関わらず私の小説を読んで頂けているなんて
本当にうれしいです。

応援してくださる方々のためにもこれからも書けるだけ小説を書いていこうと思いますので、
これからも咲蘭保、そしてこのサイトを宜しくお願いします。

タイトルはお題配布サイト Overture からいただきました。






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