-----お前、元に戻ったら何がしたい?
-----別にないわ。生きて帰れるかどうかもわからないんだもの。
-----んな暗いこと言うなって。俺たちは絶対生きて帰んだから。
-----あなたが守ってくれるから?
-----あぁ。だから言ってみろ。やりたいことがあったらそう簡単に死ねねーだろ。
-----そうね。何でもいいなら、まずはお姉ちゃんのお墓参り、かしら。
-----そっか。
-----工藤くんは?
-----俺は、まずは飯食って、風呂に入って、寝る。
-----なにそれ
-----その次は、お前と映画観に行くのとかもいいかもな。
-----映画?
-----そ。んで一緒に昼飯食って、買い物して、帰る。
-----つまり、今までどおりの生活がしたいのね。
-----今までどおりだけど、全く一緒ってわけではねーよ。
-----?
-----元に戻ったらわかる。
-----凄く気になるわね、その言い方。
-----気にしとけ。
-----あら、ガキが生意気なんじゃない?
-----はいはい。元に戻ったらガキなんて言わせねーから。
-----元に戻っても歳は私のほうが上よ。
-----八十四歳だっけ?
-----しつこいわね。
-----冗談だって。んな怒んなよ。
-----余計なことばっかり言うからでしょ。無駄に記憶力がいいんだから。
-----その無駄な記憶力はちゃんと覚えてるよ。お前が俺とお似合いの十八歳だってことも。
-----………。
-----楽しみだな。
-----ホント、むかつく。
-----はいはい。
この戦いが終わったら自分たちの関係は変わっているだろうか。
それは未来の自分たちだけが知っている。