長編T
□この私×誘拐犯にて
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「もしかして、デルお姉ちゃん?」
久しぶりにあったアルカちゃんは、とても可哀想だった。
『良く分かったね、アルカちゃん』
パパ様には「会わなくて良い」と言われていたけれど、私は迷わず面会を望んだ。
「えへへ〜」
ふにゃりと笑うアルカちゃんには、この家にはないモノたくさん持っていると思った。
+ + + + +
ゴトーは部屋の外に待機している。
私が頼む以前に、ゴトーは踏み入れる気がないようだった。
『ね、アルカちゃん』
「なあに?」
だから、このチャンスを逃す手はない。
『私と外に行ってみたくないかな?』
「外?」
コテンと首を傾げる仕草は、どことなくイルミに似ていた。
「でも何で?」
『少し手伝って欲しいことがあるのよ』
「手伝って欲しいこと?」
『うん』
「う〜ん」
しばらく考える素振りを見せたが「ごめんなさい」と、アルカちゃんは断った。
「出ちゃ駄目だって言われてるもん」
『そう………』
これは想定内の返答。
ゴトーからの説明で、十分に推測できる範囲の模範解答だ。
『ねぇ、アルカちゃん』
「なあに?」
『どうしても駄目?』
「え?」
『どうしても? どうしても駄目なの?』
「お姉ちゃん?」
ガッとアルカちゃんの肩を掴んで『駄目?』と問いかけた。
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