魔法少女 リリカルなのは StS,EXV
□第四十二話「懐かしき我が家」(後編)
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シオンの母、アサギと驚きの初対面を果たしたアースラ一同と、再会したシオン、みもりは門を潜り神庭家敷地へと入る。そこに広がるのは、見事な日本平屋であった。
大きな日本家屋。どれほど大きいのか、母屋だけでもかなりの大きさがあるのに、それに連なるように別棟がある。更に向こうには道場らしき建物や物置まであり、止めとばかりに庭に大きな池まである始末だった。
外の塀や門から想像はしていたが、下手をするとそれ以上に大きな屋敷に一同呆然としながら中をアサギの先導で進む。やがて奥の一室にたどり着いた。居間と言うには大き過ぎる部屋である。
何とここに居る面子、全員が楽々に入れ、ゆったりと出来るスペースがあったのだ。その広さ、押して知るべしである。
久しぶりの畳の感触と匂いに、シオンは顔を綻ばせながら適当な場所に胡座をかいて座る。
そんなシオンに一同、どこに座ったらいいものかと思案顔になるが、アサギが上座に座ったのを景気に、はやてを一番前にして皆が畳に座った。
「ようこそ、神庭家へ。大したもてなしは出来ないけど、自分の家だと思って楽にしてね」
「いえ……こちらこそお招き有り難うございます。シオン君には私達もお世話になってます」
ぺこりと一同、頭を下げる。それにアサギも頷き、続いてシオンへと視線を向けた。
「さっきは言えなかったけど、シオン君も久しぶり。元気そうでよかった」
「ん。母さんも元気そうで安心したよ。……元気過ぎるみたいだけど」
未だに痛む額にシオンは苦笑しながら言う。一同、そんなシオンに苦笑した。帰って早々襲撃を掛ける母なぞ、おそらくは世界広しと言えど彼女しかいまい。
「いいじゃない。シオン君が二年でどれくらい強くなったのか知りたかったしね」
「……で? 判定は?」
「×♪」
問答無用にそう言われ、流石のシオンも苦笑する。アサギは絶えない微笑みのまま続ける。
「手を抜いていたのが分かったからね。もっと真面目に戦ってくれたら最低でも△は上げたんだけどね〜〜」
「……初っ端から母さんだと分かったからね」
自分でも言い訳にしかならないと分かっている台詞を口にする。アサギはそれに、んーと小首を傾げた。
……取り敢えずこれ以上駄目出しをされる前に話しを変える。
「……皆の紹介をしたいんだけど、いい? 母さん」
「うん、いいよ」
にっこりと笑うアサギに取り敢えずシオンは安堵。そして、シオンははやてから紹介して行く事にした。
「まず、俺が厄介になっている艦の艦長さん。八神はやて先生」
「八神はやてです。今日は大人数で押しかけて、申し訳ありません。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね」
シオンに紹介されて、はやてが頭を下げる。それを皮切りに皆をシオンは紹介していく。
自己紹介も兼ねた挨拶が終わった後、アサギは皆を見て微笑した。そして、シオンへと視線を向ける。
「可愛いらしいお嬢さんばっかりだね。シオン君、ハーレムだ」
「ないない。世界で一番有り得ないよ」
確かに女性が多いのは確かである。この場にいる男が自分とエリオしかいないのだ。何と九割が女性と言う事態にシオンは心底苦笑した。
「そうなんだ。でも、何とも無いって事は無いよね?」
「いや、ないってば。皆、先生だったり仲間だけどさ」
確かに、キスやら何やらはあるにはあったが、半ば事故みたいなものである。そもそもまともな恋愛なぞ出来るような状況では無かったし、シオン自身する積もりも無かった。
シオンの台詞に、アサギはふぅ〜〜んと、生返事をする。そして、おもむろにたった一言のみを呟いた。
「大変だね」
「なにが? てか誰に言ってんのさ?」
シオンは思わず問うが、アサギは取り合わない。他の面々はそんなシオンにに苦笑したり呆れたりしていたが。
さてと、アサギはポンっと両手を合わせるようにして叩き、ニッコリと笑った。
「今日は皆、泊まって行ってね。さっそく、お部屋用意しなきゃ」
「え? いや、それはな〜〜……」
「いいんですよ、はやて先生。部屋もありますし、泊まって行って下さい。母さんも、その方が喜ぶし」
泊まるように言うアサギに若干困惑するはやて達一同にシオンは苦笑。アサギに合わせるようにして同意する。それに、はやては隣のフェイト、なのはに目を向ける。二人は苦笑まじりに頷き、はやても二人に頷き返した。そしてアサギに向き直り、頭を再度ペコリと下げた。
「なら、お言葉に甘えさせて頂きます。よろしくお願いします」
「は〜〜い」
はやての答えにアサギが嬉しそうに頷く。こうして、神庭家にアースラの面々は一泊する事となったのだった。