魔法少女 リリカルなのはStS,EX

□第四話「独立次元航行部隊」
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 神庭シオンが目を覚ますと、そこには見覚えのない天井が広がっていた。白い天井には、シミ一つ見られない。

 ……ここは?

「あ、気が付いたみたいね」

 疑問符を浮かべていると、声が来た。シオンは反射的にそちらへと顔を向ける。
 そこには茶色い制服のような服の上に、白衣を着た金髪の女性が立っていた。
 多分、自分より3〜5歳くらい上であろう。優しそうな表情が印象的である。その女性は、水が入ったコップを差し出して来た。

「はい、お水」
「ども……」

 受け取り、水を飲む。相当咽が渇いていたらしく、シオンはコップに入った水を一気に飲み干した。
 その間に、女性は空中に投影されたコンソールを操作し、どこかへと通信を繋げる。

 ……?

 水を飲んで人ごこちついたシオンは、そんな女性を見て疑問符を浮かべた。よくよく考えれば、何も分かってはいないのだから。通信を終えると、女性はこちらに戻ってくる。

「それにしてもよく眠っていたわね。……ここ暫く、ろくに休んでなかったみたいだけど」
「はぁ、まぁいろいろあったもんで。あの、聞きたいんスけど……ここ、どこっスか?」

 いろいろ尋ねてくる女性を制して、シオンは逆に尋ねた。まずはここが何処なのかを知らなければ話しにならない。女性もそれに気付いたのか、ハっとした顔となった。

「あ、ごめんなさい。まずはそこからね。ここは時空管理局、地上本部の医務室よ。そして、私はシャマルっていうの。よろしくね」
「はぁ……よろしく――って管理局?」

 告げられた場所に、シオンは盛大に疑問符を浮かべる。何故に自分はそんな所にいるのか――。

「覚えてない? おとついの夕方、市街地で……」
「あ……!」

 そこまで言われて、漸く全て思い出した。
 感染者との五連戦。そして、少女との再会を。あの後、ヘリが降りた時からの記憶がない。

「現場に到着した時点で君は意識を失っていたの。疲労がもの凄かったのね。まる一日半も寝るなんて」
「……そんなに?」

 流石に驚く。そこまで自分は疲れていたのかと。……どうやら、相当に限界であったらしい。
 そこまで理解した所で、唐突に医務室の扉が開いた。女性が二人、入って来る。

「あ、ちゃんと目、覚めたんやね。シャマル、お疲れ様」
「はい♪ はやてちゃん。フェイトちゃん」

 先頭の、背が低いほうの女性の台詞に頷き、シャマルが二人を迎える。一人はセミロングの髪に、わりかし背が低めの女性。もう一人は、金髪で背が高い女性だ。

「さて、まずは自己紹介しとこうか。はじめまして、時空管理局一佐、八神はやてです」
「同じく、時空管理局執務官。フェイト・T・ハラオウンです」

 二人から自己紹介されて、シオンも居住まいを正した。何がどうなるかはさておき、礼には礼で返すのが当然だから。

「神庭シオンです。はじめまして」

 言った直後だ。二人して、ジ〜〜と、こちらを見て来た。思わず、シオンはベッド上でたじろぐ。

「あのー、どうかしたんスか? 俺、何かおかしい所でも……?」
「いや、そういう訳やないんやけどな」

 はやてが苦笑する。フェイトもだ。そんな二人の反応に、ますます解らなくなって、シオンは首を傾げた。

「あんな? スバル・ナカジマって覚えてるか? 君と一緒にいた娘やけど」
「? はぁ、そりゃまぁ」

 疑問符を浮かべながらも頷く。あれだけの事があったのだ。いろんな意味で、当分忘れる事はないだろう。……ちょっとだけ赤面したのは内緒だ。

「その娘がな? 『シオンって、もう目茶苦茶、言葉使いが悪いんですよ〜〜』って言うてたから覚悟しとったんやけど。思っとったよりまともやったから驚いとったんよ」
「んな……」

 絶句する。……そんなに言葉使い悪かっただろうか? そう思い。自分の言動を鑑みて――シオンは考える事を止めた。人間、自覚しない方が良い事もある気がする……多分。
 そんなシオンの思考が表情より漏れていたか、はやてとフェイトは微苦笑した。

「っと、話しが逸れたな。フェイトちゃん?」
「うん。シオン君だっけ?」
「呼び捨てでいいっスよ」

 思考から立ち戻り、シオンは頷く。その返答を聞いて、フェイトもまた頷いた。
 
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