魔法少女 リリカルなのはStS,EX

□第十三話「痛む空」(前編)
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 二年前の666のデータ。
 666(ナンバー・オブ・ザ・ビースト)。

 本名:伊織タカト。

 年齢:十九歳(二年前、今は二十一歳)。

 魔力ランク:EX(評価規格外)。

 グノーシスに於ける位階『第二位』(現在は失効)。

 魔法術式:八極八卦太極図。

 戦闘スタイル:魔神闘仙術。

 クラス:格闘士(グラップラー)。

 デバイス:なし(現在では魔王の紋章がその役割を果たしていると思われる)。

 八極八卦太極図について。
 666こと、伊織タカトが考案した魔法術式。
 だが、この術式そのものは異端である事を前提として頂きたい。この術式の特性は『自己改造』。
 まず、タカトが着目したのは『リンカーコア』の改造である。
 自らの『リンカーコア』を露出し、自己改造したのだ。タカトの『リンカーコア』は『八卦太極炉』と呼ばれるものになっている。これはリンカーコアを八門遁甲と呼ばれるもので囲み、そして、分解。次に八門遁甲を常に回転するように改造したのだ。
 この魔力炉を『八卦太極炉』と呼ぶ。八卦太極炉により、空間内の八極素――つまりは。

 天。
 火。
 水。
 土。
 山。
 雷。
 風。
 月。

 の八素を特殊な呼吸方で身体に取り込み、練り上げた所で八卦太極炉に流し込む事で従来では考えられない魔法特性を持つに至る。
 ようするにこれは呼吸をする事で魔力を補給出来るのである(空気の有無に関わらず)。
 さらに、八の門に魔力を流し込む事により、各属性の変化を可能にした。
 つまり、タカトは魔力変化資質を天然で八つ持つ事になる。
 『リンカーコア』を改造した後で次に行ったのはそれを応用した術式の構成である。
 それをタカトは東洋の魔法である所の『仙術』を研究する事により、構成した。つまり『カラバ式』を下地に『仙術』を組み込む事により、まったく別種の魔法を作ったのだ。
 『仙術』の特性は究極の肉体コントロール。そして、空間すらも制御する、術制御。
 これは『八極八卦太極図』の目指す物に限りなく近かった。
 『カラバ式』の魔力運用に『仙術』の制御能力。この二つを組み合わせる事により、途方もない緻密な制御を持って大魔力を運用する技法を持つ術式が生まれたのである。
 曰く、『大魔力と高速・並列処理は衝突(コンフリクト)するのが普通』であるが。
 『八極八卦太極図』はそれに当て嵌まらない例外となってしまっている。とは言う物の、この魔法術式を使用する為には『カラバ式』の魔法構築能力と『仙術』の肉体コントロール・術制御を極めて高いレベルで修めなければならず。それは才能で表すには余りに異才、それは努力で表すには余りに異常。
 そう取れる出鱈目な練武が求められた。
 これを十四で完成させたタカトが異常過ぎなだけであり、実質タカト以外にこの術式を使う者はいない(タカト曰く。『修練次第でやれば誰でも出来る』)。


 666のアビリティースキル。
 一応、彼はグノーシス側に居た人間である為、アビリティースキルでそのスキルを表す。

 無拍子:SSS。
 体術に於ける秘奥。一切の予備動作を廃し、打撃を叩き込むスキル。緩急動作の究極であり、傍目には過程をすっ飛ばして打撃を打ちこんでるようにしか見えない。このスキルは通常打撃以外の魔法打撃にも有効であり、これをもって放たれた技は須らく攻撃速度が測定不能となる。

 浸透勁:SS。
 体術に於ける秘奥。緩急動作、重心動作を極める事によって放たれる特殊な打撃法で、バリアジャケットやプロテクションと言った、防御障壁の一切を無視して衝撃を撃ち込めるスキル。

 魔力放出:S+。
 魔力を体外に放出する技法。これにより、攻撃加速、防御、威力増加等の幅広い効果が期待出来る。
 S+は実質の最高レベル。放出する魔力自身を攻撃に転化する事すら可能。

 対魔力耐性:S。
 純粋な魔力に対する防御スキル。対魔力耐性Sは、Sランク以下の魔力攻撃をほぼ完全に防ぐ。
 しかし、衝撃までは消えず、また追加効果に関してはダメージを受ける。

 心眼:AAA+。
 直感の正反対のスキル。修業、鍛練にて培った洞察力を戦闘に置いて今までの経験を持って引きずり出し、その経験と比較し、勝利する為の活路を見出だす戦闘論理。

 無窮なる練技:SS+。
 心、技、体の完全なる一体により、あらゆる戦場に置いていかなる精神制約下でもその能力を十全に発揮するスキル。

 八極八卦太極図:EX。
 上で説明した通り、大魔力運用を高速・並列処理可能とするトンデモスキル。
 しかも呼吸するだけで魔力を補給するので、実質の魔力制限はない。
 つまり、彼に魔力ダメージでのノックダウンは不可能と言う事である。


 666の魔法技の威力検証。
 天破疾風。
 威力:S+。
 速度:SS+(無拍子時、測定不能)。
 効果対象:一名。

 魔神闘仙術に置ける『風』の属性変化(カラバ式では変化資質の事をこう呼ぶ)技。
 纏う風を拳に込め圧縮し、対象にたたき付ける事により発動する。
 その風圧は台風レベル。効果範囲が一名だけではあるがその威力、速度は絶大。

 天破紅蓮
 威力:SS。
 速度:S(無拍子時、測定不能)。
 効果対象:一名。

 魔神闘仙術に置ける『火』の属性変化技。
 風と同じく。火を足に圧縮し、対象に蹴りをたたき付ける事で同時に着火し爆発させる。
 威力は瞬間で疾風を超える程。これも効果対象が一名ではあるが、威力、速度共に絶大。


 天破水迅。
 威力:AA+。
 速度:AA。
 効果対象:一〜千名。

 魔神闘仙術に置ける『水』の属性変化技。
 水を魔力と共に練り上げて水糸とし、広範囲に展開。対象を切り裂く。
 水を高密度に圧縮する事により凄まじい水圧で放つ。威力、速度、範囲共に強力。


 天破震雷。
 威力:SS+。
 速度:A(無拍子時、測定不能)。
 効果範囲:一名。

 魔神闘仙術に置ける『雷』『土』の混合技。
 雷だけでも土だけでも威力としては乏しかったらしく二つを組み合わせたもの。
 土をもって雷を集め、収束、圧縮する事によりプラズマ化したものを対象に叩きつける技。結局、四つの技では最強の威力となってしまった。
 0距離で対象に掌底をたたき込む事で発動。
 0距離でしか使えない為、速度こそAだが、威力はSS+。

 天破光覇弾。
 威力:SS+。
 速度:A。
 効果範囲:一〜百名。

 魔神闘仙術に置ける『天』の属性変化技。光を掌中で収束、圧縮し、放つ砲撃技。
 砲撃の為、速度にやや難があるが威力や範囲は絶大。

 絶・天衝。
 威力:SSS。
 速度:S(無拍子時、測定不能)。
 効果範囲:一名。

 魔神闘仙術に置ける『天』『月』の混合技。
 左右どちらかの掌に天と月の属性を組み合わせた魔力を収束、圧縮、そして加速する事により『闇』(もしくは『冥』)の異常属性変化を起こし、対象に『斬れぬ物なき斬撃』としてたたき付ける斬撃技。
 この闇は侵食という特性を持っており、あらゆる物質を闇へと帰す(タカトは高密度の魔力で手を防御して、侵食を防いでいる)。
 範囲こそ一名だが、威力は必殺。速度も速く、タカト最強の技である(ただこのデータは二年前の物)。

 他属性技。

 金剛体。
 威力:−。
 速度:−。
 効果範囲:−。

 魔神闘仙術に置ける『山』の属性変化技。
 と言っても、これは山の効果により自身の身体を金剛とする技法であり、攻撃性は基本無い。
 その硬さはまさしく金剛のそれに比肩する。しかし俊敏性にやや欠ける為、あまり使われない。


 備考。

 魔王の紋章。
 ロストロギア扱いの代物。だが、あまりに情報がない為、その能力は不明。
 一説にはある一つの術式を発動するためのデバイスでもあるらしい(ただし、これは仮説)。
 タカトは二年前に事故でこの紋章と接触し、自我が飲み込まれ暴走したと推測される。
 その後、グノーシス位階『第三位』の一人を刻印により意識不明にした後。グノーシスを出奔。今に至るまで暴走を続けていると思われる。
 やっかいなのは暴走しているにも拘わらず、スキル:無窮の練技によりその技能の全てを十全に扱え、心眼すらも使えてしまうという事にある。
 つまり暴走しているのに本人自身はの技能は全く衰えていないのだ。しかも、八極八卦太極図で魔力は無制限である。

 以上、666の二年前の最後の情報である。

 
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