魔法少女 リリカルなのはStS,EX
□第六話「その名は」
1ページ/11ページ
剣音が響き渡る。それは、まるで一つの音楽を彷彿とさせた。
時空管理局嘱託魔道師試験。実技模擬戦。
神庭シオンはヴォルケン・リッターのシグナムと剣劇を演じていた。
「おぉ!」
吠える。届けと。そして大上段に構えた自らの大剣型のデバイス、イクスを振り下ろす――しかし。
「ふっ!」
その斬撃は、あっさりと斬り流されてしまった。
一撃の重みはシオンが上だが、シグナムの技量は半端ではない。
この技量の差は簡単には埋められない。一撃を斬り流したレヴァンティンがそのままシオンの首を狙う。シオンは後退し、ぎりぎりで躱した。そのまま、数メートルも下がる。だが、シグナムは待たない。
「レヴァンティン!」
【エクスプロージョン!!】
ロードカートリッジ。片刃の剣型アームドデバイス、レヴァンティンの柄がまるで引き金を弾くように上下から重なり合う。そして、レヴァンティンはその姿を変えた。
連結刃。その名の通り、連なり結ばれた刃が伸長し、蛇の如く身をくねらせてシオンへと襲い掛かる!
−閃!−
「ぐっ……!」
正面から飛来したレヴァンティンを、首を反らせてなんとか躱す。しかし、レヴァンティンはそのままシオンを包囲し、さらにその首を擡げて全方位から殺到した。このままでは、やられる!
「っの! 四ノ太刀、裂波!」
−波−
叫びと共に振るわれたイクス――片刃の大剣型デバイスから空間に波紋が広がり、襲い掛かるレヴァンティンを一斉に叩いた。一瞬だけ包囲が緩み――同時に、開いた隙間からシオンは全力で飛び出す。
瞬動だ。そして、行き先はシグナムの眼前。
連結刃の状態のレヴァンティンは直ぐに戻す事は出来ない。その隙を突き、疾走する。そして、勢いのままに斬撃を放つ!
−戟!−
渾身の一撃、しかし放たれたイクスは、シグナムの左手に握られた鞘によって受け止められていた。
「ぐっ!?」
「はぁぁっ!」
−撃!−
直後、怯んだ隙に、蹴りを顔に叩き付けられた。
体勢を崩すシオンへと、更に連結刃を解除したレヴァンティンを叩きつける。
だが、その刃をシオンはがむしゃらに、しゃがむ事でやり過ごした。同時にイクスを翻し、真下からの斬撃を放つ――が、シグナムはその場で後ろに倒れ込むように宙返りを敢行し、斬撃を躱した。
そして、シグナムは体勢を整える為に、シオンはイクスを引き戻す為。互いに、間が開いた――。