First Fiesta
□はじまり
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中は思ったよりも広いが所々に灯がともされており、目に不自由はない。
歩むスピードを変えず、そのまま真っ直ぐ進むと奥の方に物影が見えた。
近づくにつれて段々とその影がはっきりし、姿を確認すると口元が自然と緩んでしまった。
頬杖をつき、豪奢な椅子に座ってこちらを見下ろしている。
「遅ぇよ
どんだけ待ったと思ってんだ」
物々しいが刺はなく、なんとなく穏やかな口調で話しかけてきた。
彼の表情も同じように微かだが口元が弧を描いている。
それを見ると少しだけ肩の力が抜けた。