小説
□序
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『はぁぁぁぁぁあああ!?』
誰もいないリビングに響く私の声。
外でミーンと鳴いている蝉が無性にムカついた。
【あの暑い夏の日の想い出 序】
現在8時40分。
リビングにあった置き手紙を見て、私は叫んでいた。
大声を出したから少し落ち着いたみたいで、もう一度その手紙を上からゆっくりと読む。
最後に辿り着くとまた上に戻り、読み返す。
もう一回、もう一回と。
12回ほど読み返すが、書いてある内容は変わるわけもなく
誰もいないこの空間に盛大な溜め息をついた。
「夏休みが終わるまで旅行に行ってくるね☆ by父、母」
突然すぎるだろ。
しかもなんで直接言わないんだ。
色々と不満はあるが、こうなってしまった以上仕方がない。
両親には帰ってきてから文句を言うとして、この夏をどう乗り切るかを考えることにした。
今日は7月21日、夏休み初日である。
普通なら
今日から夏休みだぜ!
きゃっほーい!
そう喜ぶ所だが
(私は高校生だからそこまでアバウトには喜ばないけど)
今年はそうはいかないのだ。
夏休みが終わるまで帰ってこない。
それはつまり、
夏休み中は1人で家事やらなんやらをしなければならないということで。
幸い料理が出来るのが、唯一の救いだった。
嗚呼、神様ありがとう!
だが料理が出来ても、食材がなければ意味はない。
バイトでもしようと思ったが、学校の許可を取っていないので無理。
次にMY財布の中を見るが、これでは約40日間もつわけがない。
“飢え死に”という単語が頭を過り、冷や汗がいっきに吹き出た。
駄目だな。
これだと悪い方向に進む一方だ。
一度頭を冷やそうと思い、エアコンのスイッチを入れるが反応がない。
もう一度ボタンを押してみるが、
やっぱり動かない。
『NOォォォォオオオ!!!!』
なんということだ。
昨日まで正常に動いていたエアコンは、天国へと旅立ってしまったらしい。
私はごくりと唾を飲み込んだ。
エアコンが動かない=熱中症になる確率が高いということで。
そんな危機的状況の中、
私の夏休みが始まった。
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思いつきで始まった連載物。
今後どうなるか私にも分かりません。
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