小説

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圧迫された喉。

苦しくて嗚咽がする。



嗚呼、今から締め殺されるんだ。



怖くて何も見ないように、強く両目を瞑る。




だが、予想を大きく外れ

手は首から退いた。










【あの暑い夏の日の想い出 2】















押さえ付けられているものがなくなった首に手を当て、目を開けた。


そして再び、さも自分の部屋のようにベッドに腰掛け私を見上げている男と目が合う。


いつもなら注意をするところだが相手が相手だし、今は予測不可能な行動をとられた為、黙り混んでしまった。




沈黙は駄目だと思い、思考を巡らせて、
やっと出てきた言葉。




『……私を殺さないんですか?』




馬鹿らしい問い。
だけど、1番知りたい問いで。


男にとって私の発言は有り得ないことらしい。




驚いた時の表情。


あれは心から吃驚していないと出来ない表情だから。





でも私は頑固で。

自分に嘘は絶対付きたくない。



殺されたくないけど
嘘を言いたくない。

なんて矛盾してることくらい分かっている。



そんな私を見据えてか、男は落ち着いて
かつ優しい口調で喋り出した。





「君を信じることにするよ。疑っていたけど、どうやら嘘ではないみたいだからね」





口調とは裏腹に、何一つ笑みの浮かばないその顔。



まだ会って20分程しか経ってないのに、彼が冷酷な性格であることが痛いほど分かった。










あの発言から沈黙が生まれ、約5分が経ったと思われる。

(実際は1分ほどしか経っていないのだが)



ふと思い出したかのように、男は唐突に口を開いた。




「君は高校生か?」


『え?あ、はい。高1で誠凛に通っています』




“誠凛”と言う言葉に、再びピクリと反応を示した。




聞くと知り合いがいるらしく、名は“黒子テツヤ”と“火神大我”。


彼は私に知っているかと尋ねた。



もちろん知っている。
2人は私の友達だから。



だけど、引っ掛かるところがある。





「誠凛にバスケ部はない、ですよ……?」




それを聞いて、

男は満足げに頷いた。




「これで分かったよ。どうやら僕は異世界からやって来たようだ」





自分が異世界に来た。



なんて日常を生きている上では有り得ない出来事。


だから、もし私がその被害者だったら

(違う意味でもう十分被害者だが)

今頃パニックに陥っていただろう。



なのにこの男は肝が据わっているというかなんというか
平然としている。


歳は近いはずなのに、遠い先の人のように感じた。




『………落ち着いていますね』


「騒いだって状況が変わるわけじゃないからね」





確かにそうだけど。

正論すぎて+貴方様が怖すぎて
何も言い返せないけれども。


心の中では何回でも言わせてもらいます。




普通の人は無理です。






「君だって落ち着いているじゃないか」


『これでも驚いているんですよ』





私の答にへぇ意外とでも言いたそうな顔をして、目を細める男。


やはりこういう仕草も、近い歳の人間には見えない。




それより、また心を読まれた感じがするのは。



「気のせいだよ」




わお。気のせいじゃないみたいだ。







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無理矢理終わらせた感がありますね
すみません
いい終わらせ方が思い付きませんでした……


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