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□寝顔にキス
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白い天井に白いベッド。
消毒液のほのかな香りに包まれ、休息をとる要。

要は、普段絶対見せてくれない力の抜け切った間抜けヅラを無防備に晒している。


…さて、ここで問題です。
要の恋人として、私の正しい行動は次のうちどれでしょう?

1.優しく起こしてあげる
2.キスする
3.一緒に寝る


自分に質問して自分で考える。

うぅーん…全部捨てがたい!!
しかしここは3番で!


へにゃりと緩んだ頬を隠しもせず、私は要の布団を少しめくった。


おじゃましまーす!


上履きを脱ぎ捨て、ベッドへ膝をついた私の目に飛び込んで来たのは…顔を思い切り歪めた要(メガネなし)だった。


「なにやってんだ?」


モゾモゾと枕元に置いてあったメガネをかけて、ふとんに入りかけていた私の首根っこを掴み、しかめっ面でまじまじと見てくる。


『お、起きてたの?』

「横でブツブツうるせぇから起きたんだよ…っ!なにが一緒に寝るだバーカ」

『な、なんでっ』

「全部声に出てたっつーの」


慌てて口を覆う私を横目に、要はベッドを軋ませて両足をおろした。

緩めていたネクタイをキュッと締め直す。


『…別にいいじゃん…要ばっかりずるい!』

「ずるいって…お前アホか?ここどこだと思ってんだよ」


要がそう言いながら立ち上がり、私の肩を軽く小突いた。

要は、白いベッドを囲っているカーテンを開こうと掴むとこちらを向いた。

あーぁ…
どうせなら2番のキスする、を選んどけばよかった…

私のツーンと尖った唇を見て、要がハアっと息をつく。


「だから…全部声に出てんだっつの…」


ふと私の上に影がおりてきて顔を上げると、ふてくされたような、困ったような、照れ臭そうな…?
複雑な表情の要の顔がすぐ近くにあった。


「…………」

『…………』

「…………」


要は私の肩をまるで肘置きのように、真っ正面から両肩に肘を乗せている。

か、要の息がかかる…

照れてしまう程の至近距離で私を見つめる要。

そんな要のメガネの奥の瞳をまじまじとよく見ると、なんだか眠そうに微睡んでいる。


『……あの…』


要、もしかして寝てるんじゃ…??
っていうか、寝ぼけてる??


私は恐る恐る要に顔を近づけた。

ちゅっ、と唇に限りなく近い頬にキスをしてみた。


「………お前さ」

『っひぇ!』


お、起きてた!

要の呟く声に、ビクッと肩を揺らす私。


「なんでいつも口からズレてんの?」

『え!?』


き、キスのこと…かな?

だって、さすがに口にするのは…


『…恥ずかしいから…』


私がそう囁けば、要は口元を緩めて私を下から覗き込むようにキスをした。


『…もしかして、いつも要が寝てる時キスしてるの、バレてる?』

「あー、さぁな」


その反応…
絶対バレてるよね。

要はカーテンを開け放して伸びをすると、私に振り向いて悪戯っぽく笑った。

バレてるってわかってても、きっと私は寝てる要にキスしちゃうんだろうなぁ…




*寝顔にキス*end

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