short

□キャンディ☆ガール
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赤はストロベリー
緑はメロン
黄色はパイナップル
白はレモン
紫はグレープ

今日はどの色がいい?



教室。
隣の席にいる彼。
浅羽 祐希くん。

隣の席にいる浅羽くんは、いつも机に向かって雑誌を広げているから、あたしは彼の横顔しか知らない。

笑ったりしないし、幼なじみらしい数人以外と仲良さそうに話したりしてるところを見たことがないし、勉強ができるわけでもなさそうだし。

それで女子がキャーキャー言ってるのが、あたしにはよく理解できない。

確かにかっこいいと思うし、雑誌のページをめくる指も綺麗だけど…。
猫背だし。猫背だし。

あたしが浅羽くんの隣の席になった時、何人もの女子(たぶんほぼ全員)に席を代わって欲しいって頼まれたけど、全部断った。

浅羽くんがどうとかではなく、一番後ろの窓際という最高のポジションを守っただけ。

あーぁ。
隣の席の人がこうだと、つまんないなぁ…

なんて言ったら、たぶん殺されるので誰にも言っていない。
でもそれが本音。

頬杖をついて、つまらない授業の暇潰しになんとなく浅羽くんを見てる。
幸い、向こうはあたしになんの興味もないわけで。
こうして見ていても、目なんか合ったことがない。

いつもは。


『!』


え。
今、こっち見た。

いつもは全然気づきもしないで雑誌を読んでるくせに、今日はなんか違うらしい。

目が合った瞬間、あたしはグリンと首が折れるかと思うくらいに顔を反転させる。

な、なんでだ?

物凄く視線をそらしてしまったので、今更浅羽くんの方を向くのはとても勇気がいる。

見てたの気づかれた?
いや、前から気づいてた?

動揺と恥ずかしさに包まれたあたしは、窓に映る自分の変な顔と睨めっこ。

でも、窓に映る自分の後ろに見えた浅羽くんは、すでに横顔になっていた。





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