Story
□再会
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その日死神代行の黒崎一護は十三番隊に赴いていた。
「多分それは、十二番隊の涅ペルシャだ。」
「涅ペルシャ?」
ズズズッと出されたお茶を啜り、目線を目の前に座る人物に向ける。
十三番隊隊長、浮竹十四郎。
朽木ルキアに頼まれた荷物を届けた帰り、雨乾堂の前で浮竹に呼び止められた。
そして、先日遭遇した少女について話していた。
「あぁ。特に席官でもない普通の隊員だ。開発局局員も兼任していたかな。」
「普通の隊員って…、でも、涅ネムの妹って、」
「そうとも。なんだ、知っていたのか?彼女は涅隊長の娘だよ。ま、もっとも涅副隊長とは違って、血がつながってはいないと思うよ。俺もよく分からないんだけどね!」
ハハハッと、爽やかな笑いをする浮竹を前に一護はこりゃ、詳しく聞けないな。と思う。
「でも、何で普通の隊員が変な機械に入ってたんだ?」
「う〜ん…。よく分からないけど、話を聞く限りだと愛染謀反において疲れちゃったんじゃないかな。」
「?あの子いたんスか?あの戦いに。」
「いや、前線では活動してないと思うよ?何せ涅隊長が戦闘前線に出したがらないからね。溺愛しすぎて。」
あのマッドサイエンティストが溺愛と想像して吐き気を覚える一護。
「あの子は面白い能力を持っていてね。その能力は唯一無二なんだ。例の戦いで彼女は能力を膨大に使ったからね…。ペルシャは能力を使いすぎると長い眠りにつくんだ。まるで、充電するようにね。もしかしたら、それ用の機械だったのかもね。」
「なんすか、その能力って…っ!」
「ん?それは…「浮竹ぇぇぇぇぇぇ!!!」
ガサガサッ、バタン!!
浮竹が核心に迫る時、庭の垣根から大きな声と、何かが飛び出してくる。
「ちょうどいいタイミングだ。ペルシャ!」
一護も垣根から出てきた少女を驚き見る。
「浮竹!浮竹!浮竹!」
「なんだい、ペルシャ。久しぶりじゃないか。」
すごい形相で浮竹に近寄っていく少女は、ふと自分のことを見つめる人物に気がつく。
「あ、オレンジ。…変態ネ」
「ちげぇだろ!あれはお前が素っ裸で…」
少女が発した言葉に慌てふためいて否定をする一護。
だが、浮竹は怪訝な顔で一護を見やる。
「いや、いや!違うって浮竹さん!」
「…なんだ?また私の裸を見に来たのか?」
「お前っ!誤解されるようなことをっ!…今日は、ルキアに頼まれて荷物を届けに来たんだよ。」
「ふーん…。あ、浮竹!鯉!鯉!」
「あぁ、今日も鯉を持ってきてくれたのか。ありがとう。」
にっこりと微笑む。
一護は少女の腕の中でビチビチ跳ねる立派な錦鯉を見る。
「なんだぁ?鯉なんてどっからもってくんだ?」
「秘密だそうだ。」
一護の質問に浮竹が答える。
少女は雨乾堂の入り口にある小ぶりな石鉢に持参した鯉を入れる。
一仕事終えた少女は帰ろうと踵を返す。
「あ、おい。」
一護は少女を呼び止める。
「…また、逢えるか?」
「……十二番隊に来ればナ。」
そういい残し少女は消えていった。
「ペルシャは手ごわいぞ。」
クスリと笑う浮竹には気づかず一護は消えていった少女の方向を見ていた。