Story
□二番隊
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「だからよぉ、俺は何で自腹で夜一サマの為に自腹で隊舎の改築を自腹でやらないといけないわけだ?」
二番隊隊舎。
執務室。副隊長である大前田 希千代は好物の油煎餅をバリバリ食べながら、前のソファーに仰向けに寝転がる少女に話す。
「金持ちなんだから、それ位良いだろう。自腹自腹とケチな奴。」
少女はそう言いながら、瀞霊廷通信のページを捲る。
「金持ちだからって、自腹は無いだろうが!しかも、夜一サマの為って…帰ってこないじゃんか。」
「夜一…夜一……」
夜一という名前に少女は考え込む。
「は?…あぁ、四楓院 夜一。元二番隊隊長のだよっ。ほら、猫の…」
「…あぁ!夜一か!!」
少女は漸く思い出したようにすっきりな顔をさせる。
しかし、深くは興味が無いらしくまた視線は瀞霊廷通信に向ける。
「っだけどよぉ、砕蜂隊長も、夜一、夜一うるs「……ほぅ、大前田。貴様夜一様の悪口か?ついでに私の悪口も聞こえるが?」
大前田の後ろから細い腕が伸び、その手に握られているクナイが顎の肉に触れる。
「ソ砕蜂隊長……嫌だなぁ!悪口なんて!言うわけないでしょう!!偉大なる夜一様に対してなんて!!」
汗だらだらの大前田。
目線を目の前の少女に向けると、
「はち…大前田は“帰ってもこない夜一の世話をなんで自分がしなくちゃいけないんだ。砕蜂は自分勝手”と言っていた様な、言ってないような……」
「ちょちょちょ!!!ペルシャ!この野郎!てめ何チクッて…いやぁ、隊長!冗談に決まってますってぇ!!」
絶対零度の砕蜂と大前田を横目に少女は隊舎を後にする。
「あ、はち。そこの机に書類置いといたヨ。早急に目を通し、判を押すんだヨ。で、クソ爺に回しておいて。」
「ペルシャ!貴様、山本総隊長に向かって、その口!!」
砕蜂の小言は耳にしない振りで足を進める少女。
背中から、大前田の叫びが聞こえるのはもう少し。