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□枝と苗 4
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 ボクは、後悔しているのかもしれない。
 一年掛けて希望ヶ峰学園をシェルター化する作業をしている間中ずっと、彼の事を考え彼の身を案じていた。
 ボクは万能じゃない、だけどボクにもっと力があれば、出逢うのがもう少し早ければ。
 彼が絶望へ向かうのを、止められたかもしれないと。
 その後悔の深さに、記憶を取り戻す治療の最後の最後になって、ようやく、思い出せた。
 彼は友達だった。少し行き過ぎた友情表現をする、純粋故に狂気を抱いた、ボクの大切な友達。
 ボクの手が届くのなら、友達を助けたい、守りたい。
 でも非力なボクが周りの人達の力を借りてまで結局出来た事は、『絶望』のまま眠る彼等をジャバウォック島に匿う事だけだ。
 いつか彼が目を覚ました時、ボクは今度こそ、彼の力になりたいと思う。
 平凡な自分が『超高校級の希望』と呼ばれるようになって解かった事、キミに伝えたいんだ――狛枝クン。
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