『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』
□命の楽曲(後編)
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『覚醒』が『自覚』へ変化し、自信と誇りを自然と纏う様になるだろう。
それまで如何に焦心させるかが今の課題と言ったところか。アルゼスとイルアを敢えて駆り出したのも一つの手段として投下はした。
「頑固さは遺伝ですかね?」
「さぁ…きっと、ブェルブニの血筋の者は頑固じゃなく、素直になれないだけなのかも知れませんね」
「今後の課題が一つ追加された訳ですか…」
「アルストムをズタズタのボロ雑巾にしたとしても、メイカの心はへし折れたりしないでしょうね。あの子、ハヅキと似ていて頑丈なのよ。けど、逃げる場所を無くしたらどうかしら?ウリエルみたいに自分自身の立場を考えるでしょうね。“マルソ”の遺伝と“ブェルブニ”の遺伝を引き継いだ皇子ですもん。意外な『決断』を示す場合もありそうだけど……今は…判断出来ないでしょうね」
彼女の科白に疑問を抱きながらも、アルザリは片手のグラスを口元へ近付け、残っていた酒を一気に流し込んだ。