『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』
□命の楽曲(後編)
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麗しきウリエルの剣捌きは圧倒されてしまうのを彼女は知っている。
現に幼い頃、剣術はウリエルから学んだ。相手との距離の取り方や挑発の仕方各々を厳しく指導してくれた。
だから、アルザリがウリエルの剣術に興味を示しても何ら可笑しくはない。
昔、お手合わせした様に劣っていないかを見てみたいのだろう。
犠牲者がアルストムという部分は毛頭、気にする必要性もないといった感じだ。
「アルゼス達が失敗を敢えてしてくれませんかね?」
「彼等は仕事に関しては素晴らしい行いをしてくれるわ。多分、失敗はしないでしょうね。それに…」
「――…メイカですか?」
「えぇ」
鍵を握るのはアルストムではなくメイカ。次期魔王としての覚醒が始まれば、また状況が変わってくる。