『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』

□命の楽曲(前編)
2ページ/15ページ

――魔界・プリゾ邸・リビング


スヤスヤと寝息を立てているメイカに直接話掛けるレイナは、一呼吸付くと翳していた手を退けた。


「そうよ、セイテーラ…貴方は“命の神”『アラキュナ』の曾孫。ブェルブニに新たに課せられた使命を背負わされた次期魔王として、貴方は己を理解しなければいけない。苦しみも、悲しみも、温かみも、ね。その為に人とし生まれ、生涯を終え、此処に戻ってきた…」


意味深かな言葉を残し、彼女はドアがある方へ歩いていく。


「――…これが、父様が私に課した使命。次期魔王に自覚と覚醒を教える…」


セリデュクに聞こえる様に彼女は言うとドアを閉めた。

世代交代は必ずやってくるのは言わずとも知れている。新たな貌を作り、時代と共に溶け込んでいく。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ