『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』

□溜め息吐いたら、幸せ逃げる。
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私の思わぬ発言に祖母様は少々、驚いた様子。


嘘を付いている訳ではない。
元気に陽を浴びる薔薇も好きではあるが、雨の雫を浴びる薔薇の方が私は好き。


「色んな例えがあるのですね。ハヅキは、月夜の光を浴び、蕾から華になる瞬間が好きだそうです。私は…暗闇に咲く薔薇も好きですが、満月の輝きで煌めく薔薇が好きです…」

「…」


「綺麗ですよ?機会があれば、メイカも見てみると良いです…」


暗闇に咲く薔薇か。
どんな感じなんだろう。


「それより…」


祖母様が突然と声のトーンを変えたもんだから、反射神経でビクリっと反応してしまった私。


「提出してくれたレポート…中々の出来でしたよ。私達には身近な生き物であり、下界では食物連鎖の頂点に立つ『人間』を題にしただけあります」


厳しい助言をされると思ったが逆で驚いてしまう。
祖母様の白い手が私の頭を撫でた。
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