『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』
□人間
2ページ/12ページ
――魔界・ブェルブニ城・資料倉庫室
「んっ…」
母親から借りた資料倉庫室の鍵を開け、メイカは一人資料を漁っていた。
漁っている内、寝てしまっていた様だ。目の前には積み上げられない資料が落ちている。
「寝ちゃってたんだ…」
落ちている資料を拾い上げ、机の上へ置く。この課題になってからというもののメイカは十分な睡眠を取っていなかった。
自分が持ち合わせている本では間に合わなく、彼方此方と探していたせいである。
そこに母親が運よく現れた。
「母様のお陰で、少し眠れました…」
寝ている間に夢を見た事を思い出す。
懐かしい夢で、幸せだった。
彼と出逢えて世界がモノクロから彩りを帯びる様になったのを覚えている。
――…アルストム
今は、遠くって声すら掛けられない。