『僕が魔王として君臨したら、貴方は心を奪ってくれますか?』
□春は多忙と嵐の前触れ
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ー魔界・ブェルブニ城・執務室
「皆さん、どうしたのですか?幽霊でも見た様な顔をして…」
にっこりと、微笑む表情が完璧なメイカが立っていた。
次期魔王に君臨するまでは忙しいのをアルゼス達は耳にしていた為、執務室に来る事は予想してなかった。
「私の存在は気にせず、仕事を続けて下さい…」
直感とは当たるもので、凄く機嫌が悪いと察知する。背後に黒い気を漂わすのは親子代々らしい。
「ア、アルストム…何か仕出かしたのですか?」
「…何故、俺に聞く。仕出かすのは大抵、ジェイドだろう」
「残念ながらジェイドは、カミリアを迎えに行っています。なので、仕出かすのなんて無理ですよ…」
そう告げるアルゼスは、アルストムへ視線を向ける。
メイカが機嫌悪い理由がさっぱり解らないので、どうして良いか困惑した。
「あぁ、メイカ…ハヅキは放ったからしで良いのか?」
右のこめかみを掻きながら、聞いてくる伯父。
「母なら、大丈夫ですよ。祖母様が、天界へ、飲みに連れて行きました」
「…」
「ですから、天界に行ったんです。姫神に呼ばれたんですよ。冥界の方々も」
目が点になるアルゼス達。
一体、現姫神は何を考えている。
よっぽどの事がない限り、天界で飲み会は開かない筈。それなのに、今宵に限って宴会を始める気なのか。
冥界と云えば、彼女の兄も一緒だ。
つまり…。
「お嬢様、何か仕出かしそうで心配です…」
「ー…言うな。レイナだぞ。考えてみろ、彼女が仕出かすとすれば、アルザリに対しての愛の収集だ」
「いや、レイナお嬢様なら…」
『私、現代の神と関わるつもりはありません。ただ、時として、次期魔王の為に、接点を作りたいと思います』なんて言葉が飛び交う。
彼女は、何だかかんだで現代の神々の行く末を見透かしている。
況してや、下界の人間の生き方を静かに見守っているのだから、一驚。
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