『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』
□エピローグ
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―魔界・ブェルブニ城・総司令官室
「聞いたか?」
資料に目を通していたハヅキはソファーで寛いでいる人物に視線を移した。
「何をです?」
「メイカがアルストムに宣戦布告をしたみたいだ…」
「流石は僕達の息子だと思いますよ…」
メイカがアルストムに宣戦布告をしたのは昨日。瞬く間に噂がブェルブニ城に広がっていった。
「アルストムは何も言い返せなかったとか…」
「―…相変わらず、ヘタレですね」
「…」
「ブェルブニの全てを担う者なら、少しは精神的な部分も精進した方が僕は良いと思うんですがね…」
エメラルドグリーン色の双眸が細まり、瞬時の速さで資料にサインしていく。
「大体、アルストム様がメイカの夫となる日は既にカウントダウン入っているんですよ?今更、意見を述べた所で意味を成しません…」
「あ、ぁぁ…」
ハヅキの言葉にこくこくと頷くセリデュク。周りに黒い気が漂っているせいで、それ以上の科白が出てこない。