『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』

□母親譲りの性格は、次期魔王に相応しい…
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【アルザリside】


一瞬、背中がゾクリとする。
私は鏡を凝視した。


「左大臣到着〜」


愛らしい声音が鏡の中で聞こえたと思ったら、床にボフッと音が鳴る。
私はますます眼を開き、相手を見た。

左大臣?

この男が…?


「さぁてと…まずは…」


レイナが鏡の中から出てくるなり、銀色に光る鋏を片手に相手の有無関係なく髪を切っていく。


「レイナ…」


「ただいま、アルザリ…」


「失礼ですが…彼は…」


「長年と席を空けていた馬鹿な左大臣。アルストムの兄だよ…」


――…えっ


私は彼女の言葉を頼りに頭の中で整理し始めた。
長年と空席だった左大臣の席。それが彼だと言うのは納得しよう。
右大臣も左大臣もブェルブニの血筋の者から抜擢されるのは知ってる。
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