『僕が魔族として生まれた時、貴方が抱いて下さい』
□溜め息吐いたら、幸せ逃げる。
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――魔界・プリゾ邸・リビング
浮き沈みが影響しているのか、魔界の外では雨が降り始めている。
以前、母様に聞いたら祖父様も同じらしい。気持ちに揺らぎなどを感じると、天候に現れるとか。
私も天候で左右される…
「雨の日は、憂鬱な気持ちにさせますね…」
「…祖母様っ」
「窓の外を見てばかりで、どうしたのですか?メイカ…」
いつの間にか私の横に座っている祖母様は、にっこりと微笑む。
近くで見れば見る程、美しく思う。私も祖母様みたく美しかったら少しは自信を持てるというのに。
然程…
遠く感じてしまう。
「此処から見える薔薇を眺めていたのです…」
「薔薇?」
「えぇ、雨の雫を浴びる薔薇はドコか…寂しく、美しいんです…」