桐谷翔
V.D & B.D
今年もやって来たバレンタイン。
バレンタインデーは俺の誕生日でもあるわけで。
日頃お世話になっている方やファンの方たちからたくさんのチョコと一緒にプレゼントが送られてくる。
でも、今年はあの子から貰いたい、なんて密かに思っていた。
――コンコンッ
「どうぞ〜!」
楽屋のドアがノックされて、俺は明るい声で言った。
「お疲れ様です。」
ドアを開けて入って来たのは、俺の想い人。
「これ、皆さんに。」
手に持っていた紙袋から取り出される、綺麗に包装されたモノ。
きっと、チョコレートだろうな、なんて思った。
一磨に京介に義人に亮太…順番に一人ずつ君は手渡す。
「ありがとう。」
メンバーが次々にお礼を言う中で、やっと俺が貰える番になって。
ワクワクしながら待っていると
「…翔くん、どうぞ。」
他のメンバーよりも大きめの箱を渡された。
「誕生日といつもお世話になっているお礼です。」
ニッコリと笑いながら、でも、どこか恥ずかしそうに君がそう言って。
「ありがとう!すげ〜嬉しい!」
俺もニッコリと笑ってお礼を言った後、収録があるからと君は行ってしまった。
「…うん?」
包装のリボンのところに手紙があることに気付いて。
手紙を取り出して、紙を広げてみると
『翔くんが好きです。』
一言だけそう書いてあった。
それを見た途端、いつの間にか俺の足は動いていて。
楽屋から出て行った君を追いかけた。
今すぐ君に
“俺も好きです。”
って伝えたくて――…
きっと今年は今まで生きていた中で一番最高の誕生日&バレンタイン