リクエスト。

□これからは俺が。
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―それから7年が経った―

アイツの事が好きなんだと自覚してから、何となく心が軽くなったような気がする。
ただそれは、叶うことのない想いだと分かってはいるが。
久しぶりに会ったときにアイツの腹にいた子供は6歳になり、2人目も産まれた。
6歳の息子は、1歳になる妹が大好きで堪らないらしい。
いつだったか、楽しそうにアイツが話していた。
しかし、楽しいことばかりではなかった。
2年前、アイツの旦那が亡くなったのだ。
ふらりと寄った葬式で、アイツは泣いていた。
ぺたりと座り込み、俯いて肩を震わせ泣くアイツに、息子はずっと寄り添っていた。

今では明るく振る舞うアイツだが、時々ふっと見せる寂しげな表情。
それは、アイツの傷がまだ癒えていない証拠だった。
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