Infinite Sky

□一章 始まりの空
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『リヴ。』

誰かの名前の様だが、周りには誰もいない。しかし、

(何ですかマスター。)

姿の無い少女の声が答える。

『一夏がIS学園に入ることになった。』

そう言いながら、止まっていた歩みを進める。
他の人から見たら独り言を言っている様に見えるだろう。

しかし独り言ではない。
その声はの主は彼のISだった。

ISにも意識に似たようなものがある。

ただ俺のISは特殊で、意識を「持っている」。

そして、
「フリーダムサヴァイヴ・custom zero」略してリヴと呼んでいる。

(そうですか。)

『おそらくあの人だろう。ある程度予想していたが・・・』

清夜は苦虫を噛み潰した様な顔をする。

(マスター、ひとを疑うのはよくありません。)

リヴが答える。

『ならリヴは疑ってないのか?』

(まさか・・・あの人しかあり得ないでしょう。他に誰がいるのですか?)

『・・・。』

呆然だった。

『リヴ、お前自分で疑うのはよくないと言ったのをもう忘れたのか?』

(覚えてますよ。)

『お前は疑っていいのか?』

清夜は顔をひくつかせながら問う。

(はい。)

即答だった。

『俺は・・・』

(駄目です。)

言葉を最後まで言えなかった。

『理不尽だ・・・。』

(私に理をあてはめること事態間違っています。)

清夜は低い声で、だが笑顔で一言。

『バラす。』

(ごめんなさい。)

身の危険を感じたリヴは即謝罪した。

清夜が試験会場につき、試験官に会うなりISを起動させ見せつける。

そして笑顔で、

『IS学園に入れてくれますね?』

と試験官に殺人的な笑顔を向ける。

試験官は女性であるが故に一発で落ちた。

しかし、本人は脅しのつもりである。

後に責任者から連絡がきて、いくら男でも試験が必要ということで、実技試験会場に向かった。
それで今に至る。

『はぁ、恨むよ束さん...。』

実技試験は一度も被弾することなく、一分もかからない圧勝だった。

一夏は相手の試験官が突っ込んできて、それを避けると試験官が壁に激突。

それだけで一夏の勝ちだった。
哀れ試験官。面子もクソもない。

そして今、入学式が終わり、今はSHRで自己紹介の時間だった。

俺は眠くて頬杖をついて船をこいでいた。

「自己紹介してくれるかな?駄目かな?」

気づくと真耶先生が一夏に謝り倒している。

早くやってやれ、一夏。

一夏が席を立つ。それでも俺は船をこぐ。

「織斑一夏です。よろしくお願いします。」

しかし、周りからは物足りない視線。

俺はコックリコックリ船をこぐ。

そして、一夏は再度息を吸い込み、思いきって口にする。

「以上です。」

ガンッッ!!

頬杖ついていた手が滑り、机に顔面強打。痛い...。

音が案外響いたのだろう、一夏と、数名の生徒が俺を見ている。

「だ、大丈夫か、清夜」

一夏が心配そうに声をかける。
そんな一夏に俺は極上の笑顔を向けて一言。

『ありがとう一夏、俺の目を覚まさせてくれて。』

すると一夏の血の気がサァァーと引いていく。

そして急いで席に座り、背を向ける。

「あ、あのう...、自己紹介をお願いしていいかな?。」

真耶先生が今にも泣きそうな目で見る。

なんか悪い気がした。
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