Infinite Sky

□一章 始まりの空
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「全員揃っていますねー。それじゃSHR始めますよー。」

黒板の前でにっこりと微笑む女性、副担任こと山田真耶先生。

身長はやや低く、生徒とほとんど変わらない。
服のサイズが合ってなく、だぼっとしていてますます小さくみえる。

「子供が無理して大人の服を着ました」的な不自然さ・・・というより背伸び感がする。

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね。」

「・・・・・・。」

けれど教室の中は変な緊張感に包まれ、誰からも反応がない。

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

うろたえている先生がかわいそうだったが、たいして気にならなかった。

理由は、周りの視線。

(はぁ・・・分かっていたことだが・・・想像以上にキツイな。)

その視線は俺と右斜め前の親友だけに向けられる好奇な視線。

事の発端は親友からの電話だった。



「なぁ清夜。」

『どうしたんだ?一夏。もう試験会場に居るのか?』

「あぁ...。」

突然かかってきた親友の電話。しかし、親友の声は浮かない。

『どうしたんだ?一夏?』

心配になってたずねる。今日は高校受験で、俺達はいっしょの高校に入ることになっていた。

「清夜・・・俺、IS動かしちまった。」

『それがどうした?』

「え!!」

一夏は驚いた声をあげる。

IS、正式名称
「インフィニット・ストラトス」
宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツ。

しかし宇宙進出は一向に進まず、結果このスペックをもてあました機械は「兵器」へと変ったが、スポーツにと落ちついた。

所謂、飛行パワードスーツだ。
しかし、ISは女性しか反応しないのだ。

『お前がおかまだった、て事だ。哀れ一夏、辛い現実だが受け止めろ。』

「どういう事だよ!!」

『一夏よ、お前との友情はここまでだ、元気でな。』

「冗談でもタチ悪いぞ!!」

『はぁ、判ったよ。そんなことより近くにいる関係者に変わってくれ。』

「そんなこと・・・。」

一夏は暗い声でそんなことを言って声が遠ざかる。

(やり過ぎたかな。)

内心そう思いながら言葉を待つ。

「は、い、もしもし?」

『is学園の人ですね?』

「え、ええ、そうです。貴方は?」

『俺の名前は十六夜清夜といいます。貴方が一夏・・・もとい、少年がisをうごかしたところを見たのですか?』

「ええ、そうです。」

『ということは、彼もISに学園入学するのですね。』

清夜は目を細める。

「そうなると思います。ただ、異例の事ですので確認を取っているところです。」

最初は動揺していた女性だったが清夜と話すことで冷静さを取り戻したようだ。

しかし、清夜はその冷静さを乱すことを言い放つ。

迫力のある笑顔で。

『そうですか なら責任者に伝えておいてください。・・・あと一人男のIS操縦者が今から来ると。』

そう言うと清夜は返答を待たずに通話を切る。
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