オーブの死神

□1話 別れと出会い
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「リュイさん!!」

追悼慰霊団の船、シルバーウィンドが出航時間となり乗船しようとしたとき声をかけられ、振り向くと一人の少女がいた。

彼女の名はシホ・ハーネンフース

俺の機体の開発を手伝うために派遣された見習いの技術研究者だ。

見習いといってもかなり技術が高いため、見習いでいるのもあと少しだろう。

『どうした?シホ』

「あの、その...」

シホは何かをためらう様に言葉を濁すが、意を決した様に言う。

「また...また会えますか?」

シホは少し顔を赤くしながら言う。

『また、か。俺とシホが生きていればあえるだろうな』

「不吉なこといわないでください!」

シホは目付きを鋭くして怒る。

『シホ、今の世界に必ず生き残るなんて言葉は軽々しく言えることではない』

「そんな!リュイさんならば...」

『俺を過大評価しすぎだ。俺も一人の人間なんだ。撃たれる可能性があっても可笑しくない。』

「...」

シホは悲しそうに顔を俯ける。

ただ、とリュイが言葉を続け、シホの頭に手を優しくおかれたので顔を上げる。

『シホと一緒に作ったこのシグーを墜とさせる気はない。』

リュイは微笑んでいた。

シホはその笑みを見て安心したのか、表情が柔らかくなり、やがて笑顔へ変わる。

「次、会えたときに伝えたい事があります。」

シホは顔をまた少し赤らめながら言う。

リュイは微笑みながら

『そうか、ならまた会えるまで精々足掻いて生き抜くことにしよう。また...な』

そう言ってリュイはシルバーウィンドへと乗船する。

「可愛い娘じゃないか。お前には勿体ないんじゃないか?」

シルバーウィンドの入り口のすぐ横で立ち聞きしていた男性が声をかけてきた。

彼の名前はミゲル・アイマン。

士官学校の先輩であり、今は共に行動している同じ特務員である。

「はぁ...随分趣味が悪いじゃないか、ミゲル。」

ため息を吐きながらブリッジへと向かう。

「ちゃんと繋ぎ止めておいたのか?話を聞く限りでは脈はありませんって態度だったけど」

ミゲルはニヤニヤしながらついてくる。

『別にそういう話ではなかっただろう。』

リュイは苦い顔しながら言う。

「おいおい、お前本気で言ってないよな? どうみてもあっちはその気だぜ?」

『勝手にそう思い込んで恥ずかしい思いするのは嫌だからな、それに俺とシホはそんな長い期間一緒に居たわけではない。そんな気持ちを抱く暇なんて無かったはずだ。』

「そうなんだよな〜、いくらなんでも落ちるのが速すぎんだよ。お前らの様子観てたけど好感度が上がるようなイベントもなかったし」

ミゲルはぼやきながら不満そうな顔をする。

『何が不満なんだ?』

「なんで俺じゃないんだ?」

『お前が軽薄なやつだからだろ』

「おまえ、一応俺の方が年上ってしってるよな?」

ミゲルは軽くこめかみに怒りマークを作りながら睨む。

『上下関係無しでいいって言ったのはミゲルだろ』

リュイは何を今さらと呆れていた。

「最も先輩として敬ってほしいな」

『ならまともな先輩になることだな』

「頑張るよ」

そんな軽口を叩き合いながらブリッジへ向かう。


〜ブリッジ〜

『特務隊』
 

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